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第107話

クロも吐き出したせいか、余裕があって、凄く嬉しくて、暖かくて...優しい。 「りお...ホントに俺の?」 「そ、おまえの。もう、誰にも抱かせないし求めない...オレが求めるのは、お前だけだよ」 そう、時間は掛かったけど...オレはもう、クロしか受付けない。 体も心も、相手がクロだと認識した途端にこんなにも悦ぶ。 「クロ...来て」 熱い欲望を互いにぶつけ合い、高みに昇っていく。 「ん、ああぁっ!」 オレの嬌声は高く響き、頂点を見た時体も心も震えた。 「あい...してる」 その、クロの一言が聞こえて、オレの思考が反転した。 真っ白な空間に意識が攫われる。 快楽の中、野球のノックの音が聞こえた。 すごく不釣り合いな情景...体がビクビクと痙攣している中、クロの突き上げが汗を飛び散らせる。 浮ついた心の中で、クロがミットを構えてオレを見る。 あぁ、幻なのかとも思った。 「お前はオレの嫁だ、行くぞ!ハゲカブ」 「いつでも来いよ...りお、今度はちゃんと全力で受ける」 愛してるから。 愛してる。 「「だから、受けとめて...」」 パーンと、高らかにミットに収まったオレの球。 クロはそれをうけて満足そうに笑った。 「愛してるよ、りお」 あぁ、昔の風景と重なる。 飛び散る汗が、キラキラ輝いて体は震えた。 なんだっけ...のす、ノスタルジック? セックス中では無かったか?なのに不釣り合いな昔の情景がオレの中で錯誤して、快楽の中に見た幼いクロの姿が、目の裏に焼き付く。 「んんっ...、クロ、クロ...」 躍動する肉体に、突き上げられた衝撃でオレは不意に意識を戻した。 「はっ、目、覚めたか...っ」 オレが気を失っても、まだクロは狂った様にオレを突き上げていた。 「んっ、ぁ、ぁ、も、や...」 中の感覚も、体のしびれも...全てが...クロに溺れ、魘されるようにクロを呼ぶ。 のすたるじぃな世界で二人共に果てた。 この人がオレの運命... ずっと、一緒だ。 【完】

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