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穏やかな暮らしに移ろいの兆しが

いつの間にか始まったこの生活には不満もないし割と満足している。 アルさんは結構強引ででかくて場所を取っちゃうけど、本当に嫌な事はやらないし、一緒にいて僕の心に負荷がかからないから楽だし、一人だった反動だからかな。 こういっちゃなんだけど正直家族と一緒にいるより楽……。 んで、アルさんの今日のリクエストは鳥のからあげ。 かりっと揚がってジューシーで噛んだ瞬間じゅわっと行くあれ。 スーパーとかで売ってるような100グラム幾らでパック売りされてない。 だがらいつ絞めたかわからないけど、鶏丸々一羽から調理を開始。 鶏肉の切り方はできても鶏のさばきかたは一般中学の学生が知るわけもないがけど。 まぁそれは体が覚えてるらしくまな板より大きな鶏にテキパキと包丁を入れていく。 部位をそれぞれ分けられたら一口大に切ってモモ肉は醤油と酒、みりんにニンニクを入れたボールにつけて、砂肝やレバーは保存用容器に入れてまた後日おいしく頂こう。 鳥の骨は窓からぽいっと投げれば勝手にモンスターか食べてくれるでしょ。 あ、あれ出汁にしてスープに……もう遅いか。 後はもう、黙々と皿を出したり野菜を切ったりするだけ。 料理のレシピは頭上に現れる黒い電子パネルみたいなもので出されるし体が勝手に動いてくれる。 ステータスとか物を持ったり自分のレベルが上がったときに見えるこのパネル、一度アルさんの前に出したことあるけれど、何も反応しない辺り見えないらしい……ならそのままでいいか。 「所で……アルさんは何やってるのかな」 ご飯作るからと置いてきちゃったけど……まあいいか、唐揚げ揚げちゃお。 昼ご飯だしボリューミーな感じで行こう。 あの人部屋でゴロゴロしてると思ったらでかいモンスター狩ってきて度肝抜かれる 180度の油て狐色になるまでお肉が揚がったらひっくりかえして、三分ほど放置。 その間冷水につけた新鮮な野菜をザクザクと切って、大きめのお皿に乗せまな板の上に置く。 揚がったお肉はごわごわとした紙を乗せたパットに乗せて余分な油を取る。 それができたら手早く皿の上に盛ったサラダの上に乗せて、さお完成。 塩かタレで召し上がれ。 ても、今このままだと唐揚げのみ…これだけではアルさん好みの肉肉肉になってしまう……。 これじゃあ栄養バランス的にも恐らく量的にも足りないだろう。。 さて……副菜としては何を出そうか……。 残った鳥の部位でスープ……また肉だ、却下。 ………どうしようか。 ★ 「だったらほっとくかダンジョンマスターと話をすればいいだろうよ」 眉を八の字にしているミネルスに俺かそう言えば、ミネルスはわざとらしく肩をすくめた。 「たしかに……過去にダンジョンマスターと国が同盟を組むという話は聞いた事はありますが、問題なのはそのマスターがダンジョンにいないらしいということですよ……困ったものですね」 …………。 ミネルスとラグーンの話が確かなら…ここにいるな、そのマスター。 「そんなんでダンジョンのバランスは取れているのか? 」 あいつ埃かぶってるとか言ってたが。 「その部分は幹部格の魔族がダンジョンを動かしているみたいですから大丈夫らしいですよ? 迷宮内部までは流石に見れませんからわかりませんが」 「それなら尚更放っておけばいいだろうよ」 「それがそうもいかないんですよ」 やれやれと長いため息をつくミネルス、俺はいい加減ラグーンの所に行きてえんだがな……。 「ダンジョン本体はあるというのにそのダンジョンを操る主がいない、それに新しくできた迷宮にしては魔族の質と格か高すぎる、恐らくダンジョンの階層もそれ相応にあるでしょう、不自然で奇妙なダンジョン、そのマスターが不在ともなれ普通ダンジョンは機能しなくなるのが常ですがその様子もない、そのマスターがどんな者なのか個人的にも気になりますし、魔族二人が血眼になって探してますからね、こうして貴方を呼び出しに来た次第です」 「……そうか」 長々と話してくれたのはいいが……そのダンジョンマスターならいまそこの家で飯作ってるけどな……あぁ良い匂いしてきたぞ。 「ついでに報告させて貰うとその主を探そうと今ダンジョンから出てきたモンスターが王都中にいるんですよね」 おいおいおいおい!! 「それやばいだろ!! 」 モンスターが街にって色々な意味で終わるじゃねえかよ!? 「別に機械型モンスターなので人を襲う事はありませんが、民が驚いてる上に城下の街並みがかなりエキセントリックになってるんですよね~」 ……機械というと、なんだ? 土蔵とかが動いてるのか? それが街中を歩いている…… はぁ~と頭に手を置いてミネルスは苦悩してる所悪いが結構深刻じゃあないのか? それ 「いやそこは止めろよ、全力で」 「だって、捜索と同時に謝罪も込みで夜半の街の警備までしてもらってるんですよ?悪い事してわけじゃないですし結構犯罪率下がってますし国王とまあいいかなと……」 「良くねえからな? 」 「こちら側ばかりが美味しい思いをしてるのでは申し訳ないなと捜索に手を貸しているのが現在、幹部の魔族と話された王様があの二人なら大丈夫だと太鼓判を……まぁ私は面白そうだから便乗してますけどね」 おい最後、元宰相……。 「全くあいつは何やってんだよ………」 甘いというか、特に害意が無いと分かると突っ走るんだから…。 「貴方も人の事は言えないでしょう…………そういえば今更ですけど何故こんなところに家か立ってるんですか? いえそれ以前にとても美味しそう香りがしますね」 不思議そうな顔をしてラグーンの家を見るミネルス。 今更気付くのかよ……。 「本当今更だな、実はな「アルさーん! 」 俺がミネルスに説明しようと口を開いた所で、家の扉が開き、そこからひょっこりとラグーンが顔を出した。 「ご飯できましたけど~! その人どなたですか~? 」 眼鏡で大きくなった目をパチパチと瞬かせて興味深そうにミネルスを見る……うん、可愛いな。 「………あの子は誰です?」 うんうんと頷いていると怪訝な顔をしたミネルスに訪ねられた。 「俺の妻になる奴だ」 「は? 」 「可愛いだろう? 」 「は? 」 何を言ってるんだという顔でミネルスが音をたてて固まる、 ちょいちょいとラグーンに向けて手招きをすればきょとんとしたラグーンが近づいてくる、そのまま手を伸ばして側に寄らせる 「こいつは俺の嫁だ」 ラグーンの頭をわしゃわしゃと撫でて言えばミネルスの白い顔がどんどん青くなっていく。 「…………は、え? は? ……あ、貴方にロリコンの趣味があるなんて初耳ですよ………?!」 あ?

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