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タフネスだけが取り柄です
魔王で迷宮の主、な事をなんかだらけながらも伝えた。
だらけたとはいえね?
アルさんはにこにこしててミネルスさんはふむと頷いて、それで……え、その先は?
「な? 問題ないだろ? 」
「今聞いた限りでは……ないですが新たな問題も……ふむ」
いや、あの。
だらけたとはいえ、あの納得するの早くないか?
「反応が薄い……」
「今更このような事で驚く歳でもありませんし、ある程度予想案を出していた中でいくつか合点が行くものがありましたので、まぁ問題はないですね」
「えー……」
「そういえば聞いていませんでしたが……ラグーン君、貴方はこの脳筋ゴリラと結婚する事に何か思うところとかありますか? 」
身も蓋もない言い方……。
「おい人のことゴリラとか言うなや」
「私は彼に話しかけているのです、貴方は少し黙るか野生に帰ってて」
文句を言ったアルさんに笑顔で切り返すミネルスさん。
えー、と? アルさんが野生に帰る、ゴリラ……上半身裸で森でドラミングするアルさん……。
「ちょっと笑えるね」
「……確かに」
「確かにじゃねえお前も笑うなラグーン! 」
「え? 」
「えじゃねえよ!! 」
「それで、ゴリラのせいで話逸れましたが実際どうなんです? どうせこのゴリラの事です、八割方強引に話を進めたんでしょう? 」
「「おいだからゴリ」ん~……確かにアルさん初対面から強引だったけど、別に拒否反応とか嫌悪とか生理的に受け付けないとかそういったものはまだ実感は湧いてないかな、僕実感してきて後悔するタイプだし、ていうかそもそも僕異性愛者だから後で後悔するかな~」
テーブルに肘をついて言えばアルさんはショックを受けたような顔で口を開いた。
「あぁ?! お前この俺よりも女の方が好きなのか!? 」
いや、それが普通でしょうよ。
「まぁムキムキマッチョは目の保養と嫉妬はしますけど……、どうせなら美人でグラマーでボインなほうがいいかな、て…………、ね? 」
僕は正直筋肉がない体でむしろ脂肪もついてマイナス、ちょいポチャだ
するとアルさんは真顔になる
「…………じゃあ今ここで結婚なしと言ったら? 」
「うん? そしたら普通にさいなら~だよ、」
今のところ恋心的なものはないし寂しくはあるけどそれもう仕方のないことと受け入れよう。
「……………マジでか」
僕の一言でアルさん手で額を抑えて呻いてらっしゃる。。
「自ら自爆するとかアルギス貴方阿呆ですか…………」
口を押さえミネルスさんは哀れみの目でアルさんを見ればアルさんはミネルスさんをギロリと睨む。
「……………うるせえ、ラグーンはもし俺との繋がりがなかったらどうしてたんだ? 」
「……………別にきちんと迷宮の運営をしておけばお金は入ってくるし普通に生活できるかな、森でのんびり暮らすね」
「ずっとここで 世間知らずでか? 」
「別にそれでもいいんじゃない? ここにいるか、人の寄り付かない場所にいれば困ることじゃあないし」
興味の無いことに関しては井戸の中のカエルで十分。
「はあ? 」
「今続けてる生活をこのまま継続させとけばそれはそれで幸せじゃん? 余分な事に手を出して、破滅する方がよっぽど嫌だね」
誰にも邪魔にならずにのびのび暮らせるからね。
「…………ちっちゃな幸せだなおい」
「幸せは求めすぎないほうがいいんだよ~、今ここでこうしていることが僕としては幸せだし」
「教会の奴等が言いそうな台詞だな……」
「自分で言っててなんだけど神父様とかが言ってそうだね……まあこう偉そうな事言っても、興味のあること好きなことが絡めば手のひら返して全力で突っ込んでいくけどね」
「まぁそれが普通だわな……だが、そこまで謙虚に行かなくても良いと思うぜ? 」
「程々が一番だよ? 求めるとロクなことが起きないしね」
「……………まるで体験した様な言い方だな、あとミネルス、何ちゃっかりお茶飲んでんだ」
「おやばれましたか」
「お茶はご自由に、まあでも…………たった一言、たった一つ、歯車が狂うだけで幸せは絶望に変わる」
リアルでもゲームでも…………ね。
「「……………」」
「ん?、どったの??」
「そんな朗らかに悲しいこと言うなよ…………、」
黙って僕を見る二人に目を丸くすればアルさんは眉を下げた。
「いや、これで悲しいとか言ってたらこの先やっていけないでしょう」
何でこの世界にいるか、分からないけれど、取り敢えず今は、流す、流せるだけ、頭のすみにおいやる、追いやれなくなるほど大きくなったら、そのときはそのときだ。
「はぁ…………駄目だこりゃ、ちょっとこっち来いラグーン」
「ん?、なっに、にゃあ!? 」
一歩進んだ瞬間逞しい腕が伸びて、気がつけばアルさんの胸の中。
「んな暗えこと言うなよぉ、ほれ、抱きしめてやるからな? 」
覆いかぶさる形で抱き込まれぎゅうぎゅうと抱き締められる。
「いや結構っす!! 」
「遠慮するな~」
抱く力が強く、ちょっ、苦しい苦しい死ぬ~!!。
「してない~!! 」
「【うるせえ、犯すぞ】」
シンプルに怖いわっ!!
ドスの聞いた声でなんてことを言うんだこの人は!、て尻触るな!ちょっ、顔近い近い!!
「いーやぁぁああ!! ふぶ………!?」
僕が叫ぶのをお構いなしにアルさんの唇が重なる。
ただのこれはキス……でもガッチリと頭を掴まれて腰にもしっかりと腕が回って、目を開ければアルさんの強い眼差しが僕をガン見して……あ、いま笑った。
「………とりあえずいちゃついてないで……帰りますよ?」
ちょ、ミネルスさんため息つかないで、ちょっと ミネルスさん。
ヘルプミー!!
「………もうやだ……お嫁に行けない……」
ファーストキスが…………、
ただのシンプルなキスでなにこの精神的な大ダメージ……
「安心しろ、俺が責任もつ」
「いや結」
「嫌って言っても例え責任があろうがなかろうが無理矢理作ってやる」
「それもはや犯罪……」
「ですよねぇ……」
それにしてもなんでそんないい笑顔してるのアルさんは…………。
はあ……。
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