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第14話

片手に俺のキャリーカートを持ち、奴は門をくぐる。 自動で開いた門は、後ろを歩く俺が通るとすぐに閉じた。セキュリティの関係だという。 門をくぐると、壁の色と同じく白い階段が、3メートル近い高さで上に続いている。 「この先にあるのが、俺の自慢の別荘の内部ってわけさ!別荘はここ以外にも世界中に5ヶ所あるんだが、ここが一番気に入ってるんだ」 「5ヶ所もあんのかよ!」 「大したことはないさ、俺の知り合いなんか10ヶ所別荘持ってるぜ」 「あーもう金銭感覚バカかよ」 ぶつくさ言いながら階段を登る。 途端現れたのは、青いドアの白い壁の建物の群れと、その奥に続く白い外廊下と階段。 空の青さも相まって、見ているだけで爽快感を覚える。 向こう側には高い建物もなく、さっき見て感動したばかりの青い海がよく見えた。 「うわぁー!なんだこれ!」 思わず素で日本語が出た。 どこかのテーマパークみたいだ。 すげぇ以外の言葉が出てこなくて、ただただアホみたいにすげぇーって言ってその景色を眺めてた。 「気に入ってくれたか?」 口をあんぐり開けてる俺を見て、彼は得意げに言った。 「部屋は全部で8つある。全部インテリアが違って、全部にシャワーとトイレ付き。そこの階段降りたところに、プールもある。プライベートビーチはこの裏だ」 説明されるものの、見たものの衝撃が強すぎて全然頭に入ってこない。 「しかもここには俺とお前しかいない」 ま、警備が定期的に見には来るけど、とは言うものの、たしかに実質的に俺と彼しかいないわけだ。

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