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第16話
簡単に、別荘内を案内してもらった。
うまく伝わるかどうかはわからないけど、俺の見たままはこうだ。
建物を一望できる入り口から、三又に外廊下がある。上、真ん中、下と三叉路になっていて、真ん中の通り以外は階段がついている。
どの道も最終的につながっており、どこを歩いてもどの道にも出られるようになっている。
上と真ん中の道沿いに、コテージみたいに独立した部屋が3つずつ建っていて、下の道沿いに、2つの部屋とトレーニングルーム、そしてプールがある。あとはキッチンとかバーカウンターとか。
一部屋が大体65平米、洞窟みたいな作りの部屋もあれば、中東みたいな雰囲気も部屋もある。そして、どの部屋にもテラスがついていて、海を一望できた。
「さぁどの部屋にする? どこでもお前の自由だ!」
目を輝かせながら訪ねてくる。俺の口はまたも開いたままだった。
「……なぁ、俺、生きてるか?」
「何言ってるんだ? 生きてるからここにいるんじゃないのか?」
「だって、こんなところにいるなんて、信じられねぇよ」
どの部屋もスイートルームみたい。
1泊ウン十万ウン百万もしそう。
絶対熟睡できない。ちょっと高いラブホテルに行っただけでも寝られないのに。
「謙虚だなぁ、さすが日本人だな、こんなところでも謙虚なんて」
「日本人関係ねぇと思うけど」
ただ貧乏性なだけ。
バカンスと意気込んで来たものの、想像以上の舞台を用意されて完全に頭が真っ白になった。
戸惑うままの俺の肩に手を置き、そのまま抱きしめてくる。
「頼みがある。今日だけでいいから、お前と同じ部屋に泊めてくれないか?」
ゴツい体に似つかわしくない、まったりとした声で言う。
俺はほんの少し驚いただけで、彼の言動を受け入れていた。
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