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第19話
「年単位でいろんなSNSやサーバーを探ったんだが、お前の情報は1つも出てこなかった」
「だって俺、SNSとかやってねぇもん」
「そういうことなんだなと思ったよ、まさかこの時代にネットワークに繋がらない人間がいるとは思わなかったぜ」
「悪かったな、こんな近くにいるよ」
とはいえOSの製作に関わるような会社の社長にそこまで言わせるって、俺も現代社会の中にいるくせに忍者みたいだな。
「そんなときに、あの写真に出会ったんだ。偶然、写真アプリにピックアップされてたのがあの写真で、本当に運命を感じたよ」
ミュージカルを見てる気分だった。
空をつかむように手を伸ばしたり、何もないのに抱きしめるような仕草をしてくるっと回ってみたり。
大男が再会の気持ちを語る姿は、乙女チックで面白い。
「ちょうどバカンスに出るあたりっていうのもよかったよ。自宅は犬と猫がいて騒々しいから、こんなに静かにゆっくりはすごせないからな」
「犬と猫くらいならそんなにうるさくないだろ」
「それぞれ10匹以上いる」
「それはうるせぇな」
「世界中で保護してきたんだ。ほっとけなくてな。譲渡もやってるから、今はそのくらいしかいない。多いときであわせて500匹くらいいたかな。去勢してから渡すのが多かった」
「マジか、聖人かよあんた」
動物好きなんだな。そんなことも知らなかった。
軽い気持ちでここまで来たとはいえ、少しずつ、一つずつ、相手を知っていくとどんどん親近感が湧いてくる。
2人しかいないってのもミソなんだな、吊り橋効果だっけ?見事に罠に嵌められた。
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