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第25話
シェフは俺の滞在中はずっと飯を作ってくれるそうだ。
最高のバカンスに五つ星シェフの飯つきなんて、本当にバチが当たるんじゃないだろうか。
「シェフもここ泊まるの?」
と聞いたら、ここの家主が
「いや、こいつは他に宿があるから」
と言った。
パッと聞いて理解できなくてシェフの顔を見ると「やぁだぁ~!」と声色を裏返した。
「あ、なるほど、そういうこと」
パートナーんチに泊まるわけですか。
聞けばシェフもバカンス中なんだそうだ。そのついでに飯作りに来てくれると。コック帽まで持参で。なんて贅沢な話だ。
どこの誰だかわからないけど、その分だと多分この辺のご近所さんチなんだろうな。
「だから俺とお前の2人きりだ!」
しまいに、何度目かのそのセリフである。
シェフがこいつの制御装置になってくれるかと思ったんだけど、飯を作りに来るだけとなると、本当にこいつとほぼ2人きりか。
「2人で熱い夜を過ごしてちょうだい!アタシもこれからいい夜過ごすわ!」
シェフは、明日の食事の下ごしらえまで終えると、意味深に笑って帰っていった。
「ったく、なんだよ熱い夜って」
苦虫噛み潰すみたいな顔をして見送る。
2人きりになった別荘内はプールサイドにまで暖色の間接照明が灯され、柔らかい空間に変貌を遂げていた。
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