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第41話
「あのさ、俺のどこでもいいから、キスしてくれない?」
言いながら、目の前に立った。
彼はワイングラスを持ったまま、俺を見て目を丸くしていた。
「なんだって? キス?」
「キス」
「どうしたんだハニー、謙虚なお前がそんなに娼婦みたいに積極的になって。大丈夫か?」
例えが悪すぎる。
「娼婦じゃねぇよ、ただキスしてくれって言ってるだけだ」
酒飲んでるとはいえ、いきなりキスしてくれっつうのもおかしいか。
「いや、キスならいくらでもやってやるが」
「じゃあやって。ほれ」
立ったまま大の字になる。彼は立ち上がり、不思議そうな顔をしたまま俺を抱きしめてきた。
一番初めにキスしたきたのは、首筋。
その次が唇、そして喉。
「んっ」
声を殺しながら耐える。厚い唇が触れるたび、体が震えた。
しっかり抱きしめられた体をくねらせる。彼は俺の体を離さず、キスを繰り返す。自分からやれと言ったくせに嫌がってしまった。
「もぉ、くすぐったいっ」
無理やり体を捩ると、ちょうど下半身辺りに、纏わりつく硬さと熱を感じる。
「えっ」
ギョッとして背筋が伸びる。彼がキスを止め、大きくため息をついた。
「すまない、体が正直なもんでな」
「あ」
皆まで言わずとも察した。
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