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第42話
「どー、する? 俺、抜こっか?」
ちょっと照れながら静かに尋ねると、俺の体を解放して首を横に振る。
「いや、お前のトラウマが良くなってからじゃないとダメだ」
「多分大丈夫だよ、手とか口とかでするくらいだったら。入れるのはまだ無理かもしんないけど」
「いいや、俺の中で決めているんだ、だから出来ない」
「はぁ」
なんだかそういうプライドがあるんだろう。俺を大切に思ってくれてる気持ちが、彼のプライドの添え木のようになっているのを感じて、なんだか気恥ずかしい。
「ちょっと落ち着いてくる」
彼は俺から離れて、奥の部屋に引っ込んだ。
ぽつんと取り残されたのはいいけど、扉の奥で何が行われているのか察するに余りあるもので、ただ黙って待っているのもかなり気まずかった。
(とりあえず……)
皿でも洗うか。
俺も少し頭冷やさないと。
相手できないのを申し訳なく思いながら、奴のために早く克服しないととも思う。
今更だけど、俺の中で彼の存在がだいぶ大きなものになっていることを、しみじみと、強く感じていた。
ラブかライクかで言えば、多分。
(限りなくラブ寄り)
はっきり言いたくなかったのは、自分の中で抵抗と恥ずかしさが拭えなかったからだ。
男が男を好きになるなんて。
バイセクシャルを自覚したとはいえ、そう思う部分もあって引っかかっている。
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