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第43話
体まで預けられるのに何故なのか、自分の中の偏見のようなものに腹が立つのも事実で。
(こんなに想われたことないからかも)
恋愛したことはあるけど、恋愛対象として強烈に求められたことはない。
性別を盾に、愛されることに対して素直になれてないのかも、しれない。
……あとは強姦の後遺症のせいとか?
じゃあ、あんなことがなかったら、もっと彼に対して素直になれたかといえば……。
(って、何ガラでもないこと考えてるんだか)
考えすぎたら頭が疲れてきた。せっかく美味い飯食べたのに台無しだ。
無心で皿洗いをして、そのままソファに横になる。彼はまだ戻ってこない。
沈黙が苦しくて、スマホを手に取った。
キスの花言葉。
頭の中で引っ掛かっていたことを、試しに調べてみる。
「キ、ス、花、言葉、と」
呟きながら検索ボタンを押す。
うまくヒットしなくて「キス 意味 場所」で検索し直した。
ヒットしたページのうち、それらしいページを探して眺める。
「あ、これか」
シェフがいっていたことが書いてあるページに行き当たった。
「えーと、あ、ホントだ、唇が愛情」
シェフの言ってたこと以外にも、いろいろと書かれている。
髪は思慕。
耳は誘惑。
胸は所有。
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