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第53話
「あー!そうだった!ごめん、よろしく頼むわ」
ガチで忘れてた。ごめんな後輩。
彼は得意そうに笑いながら頷いた。
「デザインはすでに考えてあるんだ、あとは作るだけ。材料も揃ってるしな!」
「へぇー、いつの間にそんな」
しかも材料揃ってるっていうのは。
「まさか宝石とか使うわけじゃないよな?」
笑いながら冗談ぽく尋ねた。大学生のガキに、しかもあのアホに宝石なんて贅沢すぎだ。
彼は得意げなままだった。
「そりゃあ一級品の宝石ばっかりだぜ、安心しな!」
「はぁっ?」
冗談じゃすまなかった。
「いやいや、だってまだ20歳そこそこのガキなんだぜ、贅沢だよ」
「歳なんて関係ねぇさ、恩人にはそれなりの礼をするのが当たり前だろ」
「そりゃそうだけど」
いいのかなぁ、ホントに世間知らずのガキなのに。そこら辺の砂利とかで全然いいのに。
彼はどこからかタブレットを持ってきて、俺に見せた。ネックレスのイラストが書いてある。
丸くてカラフルな玉がいくつもついた葡萄みたいな形の宝石を、ガラスみたいなもので丸く包み込んだデザインだった。
「こんな感じにしようと思ってる」
と、得意げに笑った。
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