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第54話
「へー!すげぇな、見たことねぇよこんなの」
アクセサリーとかジュエリーに全く興味なかったもんだから、本当に見たことない、いいデザインだと思った。
彼はまるで遠くのボールを拾って来た犬のように、得意げにしていた。
「だろ、ちょっと工房にこもるから、その間ちょっと待っててくれないか」
「工房?」
ここにはそんなものもあったのか。
「工房ってくらいじゃないけどな。もともと書斎にするつもりだった部屋を少し改装したんだ」
狭いしごちゃごちゃしてるから、俺を入れることはできないそうだ。
「日本にそういう童話があるだろ、鳥が出てくるやつ」
「鳥?」
「鳥が着物作るやつ」
「鳥が着物? もしかして鶴の恩返しか?」
「そう、それだ!中に入って来ないでくれよ!」
「お前が鶴かよ」
こんなゴツくてデカい鶴いねぇだろ。思わず吹き出した。
「わかった、じゃあ覗かねぇから」
「そうしてくれ、見られたら恥ずかしいからな」
とか言って、こいつ俺がパン作るところはしっかり見てたんだよな~。なんて思ったりして。
まぁいいや、小物作り見てたって眠くなりそうだし。
「じゃあその間、また適当に運動してようかな」
久しぶりの筋トレやったせいか、体が解れてノッてきていた。
軽くプールで泳ぎたいと言ったら、裸が見られるなら大歓迎だとバカなことを言っていた。
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