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Ⅱ【ローエングリン】 第13話

通信ランプが光らない。 叫ぶ。 届かないボタンを何度も押す。 叩く。 殴る。 声が()れるまで 声が涸れても 叫ぶしかないのか。 届かない声を 俺は黙って なにもできずに見ているしかないのか。 お前がいなくなるのに カキィィーン 甲高い金属音が響いた。 パキ、バキバギバキィー 配線がショートする。 刀の柄頭(つかがしら)から取り出した小刀が《憾》の右手首を貫いている。 水晶球が色をなくしていく。 ………《花ト散ル眺メ》が止まった。 「ア…キ……ヒト」 俺は崩れ落ちた。 (アキヒトが生きている) 通信ランプに玉の雫が落ちた。 掌が汗でグショグショだ。 装甲から黄金の輝きが消失した。 ボタンを押す。 ランプが光った。 通信が復活する。 「アキヒトッ、聞こえるかッ!」 『統帥』 すぐに求めた声が返ってきた。 「よく聞け。そいつはビームを反射する。《花ト散ル眺メ》は使うな。今すぐそこから離脱しろ」 『はい』 しかし…… 疑問が残る。 (なぜ奴は) 黄金の装甲を解いたんだ? 《花ト散ル眺メ》の熱波を跳ね返せば、簡単に《憾》を落とせた筈だ。 なのに。 (これではまるで、α新型が《憾》を助けたみたいではないか) なにを考えているんだ。 α新型のパイロットは。 それでもあいつが、Ω型βを盾にする非道な戦いを仕組んだ指揮官である事は覆らない。 《憾》を アキヒトを助けたからといって、赦す訳にはいかない。 (落とすぞ) ズゴオォォォー 赤い火を上げ、《憾》が最大出力のエンジンを噴射する。 ガギンッ 鎖が《憾》の右脚を捕らえた。 絡みついた鎖が紅い機体を取り巻いて、離さない。 ガガガガッ 噴き上げるエンジンの火とは逆向きに《憾》が白い機影に吸い込まれる。 鎖で自由を奪い、 ガギィン α新型が《憾》に取りついた。 サーベル柄頭の小刀を《憾》の喉笛に突きつける。 「貴様ッ」 ダメだ。通信が作動しない。 α新型の装甲が黄金に輝く。 妨害電波だ。 「クソッ」 通信パネルを殴った。 光らない通信ランプ…… 「αめッ」 アキヒトを人質にとられた

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