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Ⅴ【マルク】第12話
カシャン、カシャン
鉄格子が揺れる。
カシャン、カシャン
後ろから、脚と脚の間を固く脈打つ剛直が行き来する度、腰を突き上げる。
声の出せない俺の代わりに、鉄格子が悲鳴を上げている。
イったばかりで、もう何も出ない。
………なのに。
快感に従順な下半身の熱が、信じられない事に首をもたげている。
……半分、起き上がってしまってるッ
(ヤっ)
こんなの、俺の体じゃない!
ドクドク、アソコが熱い。
俺を求めて、股の間を抜き差しするユキトの太いアレが大好き。
でも、そんな事思っちゃいけない。
そんな恥ずかしい事っ。
恥ずかしくて嫌だって、思わなくちゃいけないのに。
……ユキトので、もっと気持ちよくなりたいよぅ~。
こんな事、思っちゃいけないのに。
体が求めてしまうぅッ
(腰、動くぅッ)
背中で鉄格子が鳴っている。
ユキトの動きが激しいせいだ。
音は、俺のせいじゃない……
グリグリ
先端の出っ張りを、秘された奥の蕾に押しつけてきて、背筋に電流が走った。
(なにっ、今の?)
後ろの蕾がハフハフする。
グリグリされて、ヒクヒク勝手に入り口が蠢く。
(俺の体、どうなったんだッ?)
蟲が這うような……ゾクゾクする悪寒が、禁忌の扉を開けようとしている。
ダメだッ!
それを開けては!
扉の向こう側にあるのは、快感だ。
その快感を覚えたら最後。
俺は、雄しべなしではいられなくなってしまう。
グリグリグリ
辛うじて、まだ悪寒に留まっている快感に苛まれる。
背筋がゾクゾクして、気持ちいい。
腰が揺れている。
お尻が円を描いて、秘された蕾の奥へ……雄しべを誘っている。
蕾の中に、男が欲しいよぅ。
お尻を振って、男を誘っている。
「ナツキはいい子だね」
後頭部、汗ばんだ髪を撫でられた。
「こんなに強い性欲を今までずっと我慢して、よく頑張ったね」
クリクリ
雄しべの先っぽで、蕾をつっつく。
たったそれだけで、熱い呼吸が悲鳴を上げた。
「ココにぶっ刺して、ナツキの絶倫の性欲を満足させてあげたいけど。今は我慢しようね。
準備なしに挿れたら、蜜壺が痛いだけだから」
(俺、絶倫じゃない)
性欲だって、そんなにないから……
それなのに。
労るような掌が、ポンポンっと頭を撫でた。
「ナツキの体は全部、性感帯だから。どこを触られてもイってしまう、淫乱なんだよ。
蕾はまた今度使おう。今日は、ココだけでイこうね」
太い怒張が股の間を擦って……
カシャン、カシャン!
鉄格子が悲鳴を上げた。
「こんなに腰を打ちつけて……俺を欲しがって可愛いよ」
(ちがうッ)
俺、動いてない。
鉄格子の音はユキトが……
「腰振って、エロい。鉄格子鳴らしてる」
(ちがうっ)
俺は……鉄格子が鳴る程、動いてない…筈。
「まさか自覚がないの?
さっきからずっと鉄格子を鳴らしているのは、ナツキの腰だよ」
熱い昂りが会陰をこする。
カシャンッ
「ほら、鳴った」
(イヤっ!)
俺は、ちょっと動いただけだもん。
鉄格子が鳴ったのは、ユキトが動いたからだもん。
「ナツキは恥ずかしい淫乱なんだから、自覚しないといけないよ。……ココだって、だいぶ大きくなってる」
(ハぅアッ)
いつの間にか、勃ち上がってる肉棒を握られた。
「……膨らんでも、手の中におさまって。可愛い」
ユキトの手の中で、先っぽだけがピョコンと出ている。
トロンと蜜が盛り上がって、指が可笑しげに突っついてきた。
……いっぱい出した筈なのに。
穴がまたこぼし始めたミルクを、指が竿に塗り込める。
「ほら、気持ちいいんだろ?
………もっと反り返れよ?」
握り込まれた脈動を、腹に擦りつけられた。
離してっ!
……離さないなら、大きな手でいっぱい扱 いてっ!
すっぽり熱棒を覆った手が、何も施しを与えてくれない。
(もう無理ィ)
カシャン、カシャン
カシャン、カシャン
股の間の太い棒を擦る。
鉄格子が揺れて、脚と脚の間から快感がせり上がってくる。
(ハァンぅ、イイっ!)
脚の間のユキト好きぃっ!
おっきな棒が、俺を慰めてくれる。
カシャン、カシャン
「……俺は動いていないぞ?」
…………………………そんなっ。
「自覚しろよ、淫乱」
カシャン、カシャン
腰が止まらない。
鉄格子が鳴り止まない。
「袋プラプラ揺らして、尻の孔ヒクヒクさせて……欲しがりの体だな」
フッと笑んだ刹那
髪を引っ張られて、後ろを向かされた。
「種、まだ足りないんだろ?」
ネチョリ……
湿った感触が頬を這った。
舌だ……
「搾り取れよ。イカせてやるから」
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