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Ⅵ【ファウスト】第13話
「ナツキは巨根好きなんだね。嬉しそうな顔してるよ」
「こんなモノが嬉しい訳ない!」
「私はシュヴァルツ カイザーだ。心理が分かってしまうんだよ。
……とは言っても、今のナツキではシュヴァルツ カイザーじゃなくても、嘘はバレバレだけどね」
「どういう意味だッ」
「そのままの意味だよ」
「ヒンっ」
ハルオミさんの手が、俺の脚の付け根のアレ撫でたーッ
「大きくしてしまったね。夫婦の営みはお預けなのに、すまないね」
ちがうっ。
悦んでない!
俺は、
「きょッきょッ」
「巨根好き」
そう、それ!
「きょこん好きじゃないから、取り消せっ」
「じゃあナツキが『こんなモノ』扱いしたのを取り消すなら、考えるよ」
………………へ?
「酷いじゃないか。君を悦ばせる、私の大事な雄を『こんなモノ』扱いしたろう」
そこ、こだわるんだ……
「正直に『こよなく愛するモノ』と訂正してくれたら、取り消すよ」
そんなの!!
訂正したら~
ハルオミは大きい事から、こよなく愛するモノは巨根である。
∴ナツキ≡巨根好き
(従って、ナツキは巨根好きと合同である)
……となり、訂正してもしなくても、俺は巨根好きになるじゃないかーッ!!
バカバカ、ハルオミさんのバカーっ!!
「おっと」
ベッドから下りたハルオミさんの後頭部目掛けて投げつけた枕は、呆気なくキャッチされてしまう。
文民のクセに反射神経いいな♠
「初夜は少し先になりそうだが、大人しく待ってるんだよ。けれども、自分で慰めたくなったら、遠慮せずに求めにおいで」
「求めんわっ」
ハルオミさんのバカー!!
「私の妻はつれないね」
つれてたまるかッ
「それと、もう一つ」
まだあるのか。なんだよ?
「部屋の鍵は掛けないよ」
「……なんで?」
お前は俺を監視するのだろう。
「情報がΩ解放軍に漏れなければいい。無線を使おうなどとは考えない事だ。
マルクのセキュリティーシステムが逆探知し、Ω解放軍の位置を報せる事になるからね」
アキヒトと連絡を取る手段は途絶えた……
「艦内は自由に出歩いて構わない。しかし一応、監視を付けさせてもらうよ。もうすぐ、ここに来る筈だが……」
双玉に宿す藍の眼差しが、整然と見返った。
「ユキトでいいかな」
俺を監視するのは、ユキト
シキ ハルオミ……なにを考えているんだッ
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