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Ⅵ【ファウスト】第47.5話 (おまけ+)④
《おまけ+》
- Let It Go ~ありのままで~
〔『孔と黒の支配者』~H一等兵の考察~〕④ -
俺のような一兵率が気にかける問題でない……
けれど、本気で心配だ。
このバカップル~♠
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
ハァハァハァハァッ
ハァハァハァハァッ
「……ナツキ。私は新しい命に挨拶はできたかな?」
「ハル…オミ、さん?」
「君のお腹の中の命だよ。
君の中にいる生命に少しでも近づきたくて、私の《トリスタン》を発射したのだけどね。蜜壺の奥に宿る命に聞こえただろうか?」
「聞こえている!聞いてくれてるよ」
「そうかい……良かった。グチュグチュ卑猥な水音も、パンパン激しく肉のぶつかる音も。全て君を愛している証だ。
……君の父は、母上を愛しているよ」
「ハルオミさんっ」
「私を父親にしてくれるかい?ナツキ」
「けれどっ」
「分かっているよ。今夜初めて体を繋いだ私達だ。計算が合わない……そう言いたいんだろ」
「この子の父親は、あなたじゃ……」
「では、この子の父親が誰なのか。君は分かっているのかい?」
「それが……」
「どうした?」
「……そういうコト、シてないのにできちゃって~」
「正解だよ、ナツキ」
「えっ」
「処女懐胎だ」
「しょじょ…かいたい?」
「《トリスタン》は大地を焼き、生命を焼き払う。だが私の《トリスタン》は命を生む。性行為なしで。
……そうさ、イエス・キリストを身籠ったマリアのように。君は、この時代のマリアになるんだよ」
「まさか……そんなっ」
「驚く事じゃない」
「けれどっ」
「私の《トリスタン》に不可能の文字はない」
「ハルオミ…さん……」
「君が変えるんだ。中から、日本を」
「俺が……」
「この国を変えろ」
「できるのか、そんな事が」
「私を利用しろ。これからも、私の種で子を孕むんだよ。
成人すれば選挙権が得られる。子供達は君の意見にきっと賛同するさ。
君の考えを支持する有権者が増えれば、日本を変える事も夢ではない!」
「そんな方法がッ」
「私の子種で君が子を産み、この国を私達の子供でいっぱいにしよう。
シルバーリベリオンでさえも為し得なかった事を、君が為せ!」
俺達は………
私達は………
日本を変える事を目指しながら、交わってきた。
俺達の体は性交し続ける。
「子供をつくるのは私の種だよ」
「俺が産む」
あなたは……
そう、私は……
シュヴァンツ カイザー!!
「これを受け取ってくれるね?」
「……俺で、いいのか?」
「君でなければダメだ」
「嬉しい……」
「私もだ。誓いのリングを、はめさせてくれるかい?」
「うん……」
「………」
「………」
「あのっ、ハルオミさん?」
「なんだい?」
「左手の薬指、ここなんだけど~」
「そうだね」
「………」
「………」
「あのっ、ハルオミさん?」
「なんだい?」
「リング、薬指に~」
「そこには、はめないよ」
「………………え」
「私がリングをはめたいのは、ここだよ」
「ハアァン~っ」
「1.4cmのシュヴァンツなら、直径はこのサイズでピッタリな筈だよ」
俺達は………
私達は………
日本を変える事を目指しながら、子作りに励んだ。
俺達の《トリスタン》は平行線を辿り続ける。
「リングをはめるのは私だよ」
「俺が拒否る!」
プシュー
「入るか!誰が1.4cmのシュヴァンツだッ」
まったく、もう~っ。
「……これ、さっさと抜こ」
ニュポンっ
「今まで繋がったままだったとは不覚だ。……少し強く殴り過ぎたか。このあたりは兄弟の差なんだな」
ユキトは思いきり殴ってもピンピンしてる。
「……大丈夫だよ、ナツキ。頭は痛いが、私の《トリスタン》はビンビンだ」
「やかましいわ!」
プシュー
「頭から湯気出して寝てろ!」
「《トリスタン》からプロミネンスを出すまでは寝ないよ」
《トリスタン》を…………
「撃つ!」
「止める!」
プシューッ!!
「ハァハァハァ……恐るべし!《トリスタン》ッ」
ハァハァハァ
「今度こそ落ちたか?」
訂正
やっぱり兄弟だ。
打たれ強い。
………………ビンビンのまま、眠らせてしまったが……大丈夫だろうか?
アソコ、カチカチのまま……落としてしまった★
「………………大丈夫だ、ハルオミさんだし」
さて。
「この子の父親、誰なんだろう?」
ほんとうに処女懐胎してしまったのだろうか……
「統帥!こんな所にいたんですか」
「アキヒト……どうしたんだ?」
「はい、これ」
「……モーツァルト?」
「胎教にいいんですよ♪」
………………アキヒト?
「処女懐胎をなぜ、お前が知ってるッ」
「まさかー。なに言ってるんですか、統帥。そんな事があり得る訳ないでしょう!」
「えっ」
「俺の種で統帥を孕ませたんですよ♪」
「えぇェェェーッ!!」
どうやって?
俺、アキヒトとヤってないぞ。
「それこそ処女懐胎じゃないか!」
「だからぁー。夜な夜な夜這いかけたんですって♪」
「えーっ」
「でも俺の、デカいから♥ 統帥いつも起きちゃうんですよね。
その度に『これは夢ですよ』……って言うと、統帥、面白いくらいに淫乱になって。俺の上で腰振りまくるんですから♪」
「………………あの夢、現実だったんだ」
「ごちそうさま♪……俺の子を身籠ってくれて、ありがとうございます。
今、統帥のお腹の中に1.4cmの命が宿ってるんですね」
「あぁ、そうだよ」
「想像もつかないな……」
「俺もだよ」
「でも。統帥のちんこと同じサイズだって思ったら、ちょっと想像できるかも♪」
「~~~」
「元気な子を産んでくださいねっ♪統すぃ……」
「アキヒトォォォーッ!!お前もかァァァァーッ!!」
プシュー
「……ナツキ!」
「ユキトか、どうした?」
「調べたんだけとね、早ければ12週目から胎児の性別が分かるんだって!
もうすぐナツキサイズのおちんちんが、お腹の子に生えてくるんだよ!」
「ユキトォォォーッ!!俺が胎児と同じサイズって、どういう事だァァァァーッ!!」
プシュー
「どいつもこいつもッ!俺の《トリスタン》は立派だァァーッ💢」
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可哀想に……
シキ夫人……
よっぽど貧相なシンボルなんだな♠
「………君。人妻の性器を勝手に想像しないでくれるかな?」
ゾクリ
背中に突き刺す鋭利な視線
「私は黒の支配者」
「……シュヴァンツ カイザー」
「ではない!シュヴァルツ カイザーだ💢」
振り返りたくない。
しかし振り返らざるを得ない。
シュヴァルツ カイザーに俺の思考は読まれ、思考が操られている。
一兵率の俺には、振り返る選択肢を選ぶよりほかにない。
「君、所属と名前は?」
「はっ、整備班であります!ジェネラル施設部 マルク特別第1編隊 ハ」
「知ってるよ。ハラダ一等兵だね」
なぜっ?
ガスマスクだって付けているのに、なんで俺の名前が分かるんだーッ
こんな時に限って、俺の薄い存在感!
なぜ発動しないっ?
俺よ、空気になれェェー!!
「君の思考は、あながち間違ってはいない。私の理念を反映させたという点においてはね」
………………マジか。
ド変態アホエロ副総理だな!
「………ド変態アホエロ副総理ィ?」
ピキィンッ
紺碧の双眼が吊り上がった。
(しまったーッ!)
「私の前で、君の思考は丸見えだ」
ガクガク、ブルブルッ
俺よッ、空気になれ!
空気になりたァァーいッ!
「君に言葉を贈ろうか」
ガクガク、ブルブルッ
「『私の《トリスタン》に不可能の文字はない』……真理を得ているね。正解だよ」
しかし…………
「それ以外は不正解だ!」
「ヒィィーッ、ごめんなさいィィーッ!!!」
俺はハラダ。
先月、一等兵に昇格したばかりのα-大日本防衛軍 一兵率だ。
皆は、俺の事なんか覚えていないと思うけど。
覚えていないと思うけど……
俺がどうなったのかは聞かないでほしい。
皆に言葉を贈ろうか。
俺の事、忘れないでくれ……
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