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Ⅵ【ファウスト】第57.5話 (おまけ+)⑥

《おまけ+》 - Romantsch hört nicht auf. 〔ロマンチックが止まらない〕⑥ - 誰か、白ブリーフ 止めて、白ブリーフ 胸が……胸が苦しくなる~ 俺が止めなければ! アキヒトの白ブリーフを。 アキヒトは、俺の騎士なのだから。 ユキト、お前の気持ちがやっと分かったよ。 アキヒトは俺の家族だ。 身内の白ブリーフを止められるのは、身内だけだ。 自分しかいないんだ。 俺は、Ω統帥 シルバーリベリオン 我が崇高な知略をもって、アキヒト! お前の白ブリーフを阻止するぞ! 俺の騎士(ナイト) アキヒト…… 俺と共にボクサーパンツの道を歩むんだ。 「シルバーリベリオンの名において命じる!我が騎士 テンカワ アキヒト」 膝を折り、アキヒトが足下に跪く。 「パンツを脱ぎ捨て、我と共に歩め!」 「………」 「………」 『Yes(イエス), your(ユア) Majesty(マジェスティ).』……は、どうした?アキヒト 「………」 「………」 「俺が脱ぐよ」 「お前は脱ぐな!」 ユキト、お前が脱いでどうする? 白ブリーフは中学で卒業したんだろ。 俺が脱がせたいのは、アキヒトの白ブリーフだ。 「……統帥、大胆♪」 「なんで?」 アキヒト、どうして蜂蜜色の目をキラキラさせてるんだ? 「分かりました。愛人に見せつけてやりましょう!」 「なにをだ?」 「セックスです」 ……………………へ? 「統帥の可愛いおねだり、叶えてあげますね♪」 「………………なんで?」 どうして、そんな話になってるんだーッ 「『パンツを脱ぎ捨てろ』って、そういう事でしょう♥」 「ちがっ」 「統帥もさっさと脱ぎましょう!白ブリーフだからって、恥ずかしがる事ありませんからね」 「ちがっ、俺は白ブリーフじゃない!」 「男同士なんですから。恥ずかしがらない♪俺も通ってきた道です」 アキヒト、都合のいい『男同士』を使うなっ。 恥ずかしいものは、恥ずかしいんだ。 ………ん? あれ? ………『通ってきた道』って。 アキヒト言ったよな? 「お前……白ブリーフを卒業してるのか?」 「はい」 「え。白ブリーフじゃないの?」 「当然ですよ。皮被りの統帥はまだですけど、俺は思春期にお別れしました」 ……思春期に少年から大人に変わったんだな。アキヒト…… ……って、おい! 俺自身を守る包皮と白ブリーフに、どういう関係があるんだッ 悪意を感じるぞ。 俺のジャイアント・キャベンディッシュは、まだ思春期なんだ。 皮に包まれて思春期を謳歌してるんだよ。 思春期に少年から大人に変わる道を探しているんだ。汚れもないままに。 「汚れてるでしょ。統帥のモンキーバナナ、右手が大好きですもん♪」 「やかましいわっ」 なぁ、どうしてアキヒトが知ってるんだ? 俺のバナナと右手の蜜月を。 「統帥、シコるのもいいですけど。俺のジャイアント・キャベンディッシュとも仲良くしてくださいね」 「ギャーッ!」 本気だ。 本気でアキヒトが脱がせにかかってきた。 「待て」 「待てません」 そうだ! アキヒトを萎えさせればいいんだ。 俺を脱がせる気もなくなるくらい、萎えさせてしまえー! 「俺の下着、白ブリーフだぞ」 「見たいです」 ……………… ……………… ……………… いま、なんつった? 「ですから♪嫌じゃない……というよりも、見たいです。統帥の白ブリーフ♪」 ………なんで? 「白ブリーフだぞォォー!」 「だって、白ブリーフですよ!恥ずかしい統帥のワイセツな下着姿に、萌えないわけないじゃないですか!」 えェェェェーッ 俺……お前に脱がされないように、ブリーフだって嘘ついたのに。 俺の嘘は、なんだったんだァァァー ……お前。俺のパンツなら、なんでもいいんだな。 「白ブリーフ脱ぐ前に写メ撮らせてくださいね。待ち受けにします♪」 「やーめーろー!!」 なんだ、その羞恥プレイはッ 「前と後ろ、煽りでも撮らせてください。あと、脱がせちゃいや~ん♥……って感じのやつも♪」 どんな感じだよ! 写メる気満々だなッ なにが脱がせちゃいや~ん♥……だ。脱がせる気満々のクセにッ 「統帥ってば。恥ずかしがって可愛いなぁ、もうっ♪」 「~~~💢」 「男同士なんだから、気楽に撮られましょ♪」 相変わらず都合いい男同士だな♠ ……って、ベルトのバックル外されてる~ッ いつの間に?! 「後で統帥にも送信しますね」 「誰が要るかァッ!頭から湯気出して寝てろォォーッ!」 ……………… ……………… ……………… プシューできないっ どうしてだっ?? 俺を本格的に脱がせにかかったアキヒトの腕は、俺から外れている。 なのに。 自由を取り戻した手が、プシューできない。 俺の手よ! どこ行った? ………………なぜ 後ろ手にされて、戒められているんだ? 「愛人、後で俺にも送信しろよ」 「ユキトー!」 お前ッ、裏切ったのかー! 「ナツキも白ブリーフ卒業しようね。今日が白ブリーフ最後の記念撮影だよ♪」 「やめろーッ」 撮るな! 脱がすな! 思春期に少年から大人に変わってるんだ。 「俺は白ブリーフじゃないー!!」 バチィッ 「………あ」 暴れた拍子に、肘がなにかに当たった。 「ナツキ……そのボタン、マルクの通信スイッチだよ」 「一斉送信ですか。統帥ってば大胆~」 「ちーがーうーッ!」 誰が悲しくてパンツ一丁の自分を、α全隊員に送信せねばならんのだッ 俺はシキ夫人だぞ! 「あ、繋がったよ」 モニターに一瞬灰色の線が入り、画像が映る。 『……Ja, Hallo(ヤー、ハロー〈あぁ、聞こえているよ〉).』 まさか…… このドイツ語はッ★ 『Heir Shiki Haruomi(エァ シキ ハルオミ〈シキ ハルオミだ〉).』 最も繋がっていけない人に、繋がってしまったー★ 「……………………ハル…オミ…さん?」 『Was ist denn los(ヴァス イストゥ デン ロス〈一体どうしたんだい〉)?』 それは、こっちのセリフだ! あなたこそ、一体……… これは、俺の目の錯覚なのか? モニターに映るあなたは……… 裸体ィィィィ~~~★★★ 肌色の六つに割れた腹筋が見える!! スーツは? 軍服は? 戦艦マルクで、なぜあなたは裸なんだァァーッ??? 〈切なさは(フー)止まらない〉

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