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となりの奥さん
「もうこんな時間か……。」
家事を一通り終わらせた後ソファで寛いでいると、窓の外がオレンジに染まっている事に気付く。
そろそろ買い物に行かないと、とマグカップに残っていたコーヒーを飲み干し、と腰を上げた。
あらかじめ丸をつけておいたチラシをエコバッグに入れて、財布を持ってスーパーに向かう。
俺はいわゆる主夫ってやつで、二年前から同じくゲイのパートナーと同棲している。
玄関の鍵を抜いて振り返ると、ちょうど帰宅してきたお隣さんとばったり会った。
「こんにちは、太一くん。今日隆さんは一緒じゃないの?」
「あ、三堂さんこんにちは!実は一昨日から出張で、1週間くらい帰って来ないんですよね。」
三堂さんは俺たちの関係をよく理解してくれていて、会う度に微笑ましそうに笑いかけてくれる。当の本人はゲイではないけど、偏見はないらしい。
「そうなんだ。いつも一緒だからちょっとさみしいね。」
「そうですね…。でもその分楽っちゃ楽です。」
俺のちょっとした冗談に三堂さんがハハッと声をあげて笑う。
いつも思うけど、爽やかで画になるなぁ。黒のシャツにジーパンと、特になんてことのない服装も、身長180cm超えイケメンにかかればモデルのような着こなしだ。
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