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第63話 身体の熱(1)
ベッドに腰を下ろして、目の前にいるリュウが着ているシャツのボタンを、一つずつ外していった。彼の肌に触れるたびに、ドキドキと胸が高鳴っていく。
デニムのボタンに手をかけ、ゆっくりとファスナーを引き下ろすと、彼の熱は下着にその形を浮かび上がらせるほど、張り詰めている。
自分に欲情しているのだと思えば、そこには喜びしかない。うっとりと目を細めて、取り出したそれを両手で撫でる。
顔を近づけて舌を這わせると、雄の匂いが立ちこめて誘われるように、しゃぶりついてしまった。
咥えたリュウの熱は、喉の奥まで飲み込んでも、すべては口に収まらないほどに大きい。含みきれない場所は両手で扱き、口内では舌や喉を使って刺激していく。
どんどんと筋を浮き立て、張り詰めてくるそれは次第に、口に含むのも辛くなってくる。
それでもじゅぶじゅぶと、音を立てすすりながら、たっぷりと愛撫を繰り返した。頭上からリュウの漏らす熱い吐息が聞こえてくるたび、興奮してしまう。
彼は雁首をいじられるのが好きなのか、唇や舌で撫で回せば、こすりつけるようにしてくる。
鈴口を舌先でくすぐりながら、あふれ出すカウパーを絡め取るように、ねっとりと舐め上げた。
「宏武」
こちらへ向かい、伸ばされた彼の手が長い前髪をかき上げ、そのまま髪を梳くように後ろへと流れていく。
その手は束ねていた髪を解いた。さらさらとこぼれ落ちた、真っ黒な髪が頬にかかり、思わず自分は目をすがめてしまう。
「Tu es beau 」
髪や頬を撫でながら、リュウはうっとりとそう呟く。その言葉は前にも一度、聞いたことがある気がする。
初めて彼と肌を重ねた時に囁かれた言葉だ。視線を上げて彼を見つめると、彼は解けた髪をすくい上げて、今度は自分にも伝わるように言葉を換えて囁いた。
「あなたは綺麗な人だ」
熱を孕んだ茶水晶の瞳に見つめられ、まっすぐと告げられた言葉に頬が熱くなる。
そんな言葉はいままで言われたことがない。気恥ずかしくて目を伏せると、口に含んだ熱がどくりと脈打った。
リュウは驚く自分の口からそれを引き抜いて、目の前でそそり立った熱を扱いていく。それと共に顔に生温かいしぶきがかかり、あまりに突然のことで思わず固まってしまった。
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