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第64話 身体の熱(2)

 瞬きを忘れたまま彼を見つめていると、サイドテーブルから引き寄せたティッシュで、飛び散ったものを拭ってくれる。 「ごめん宏武。綺麗過ぎて汚したくなった」  唇に口づけられて、ようやく我に返ったけれど、すぐに身体を押し倒され再び口を塞がれた。触れるだけではないそのキスは、興奮で火照った身体をしびれさせる。  リュウの昂ぶりを見て、自分もかなり張り詰めた状態になっていた。刺激が欲しくて自然と腰が揺らめく。 「リュウ」  請うような視線を向ける自分を、彼は目を細めて見下ろす。口の端を持ち上げて笑う、その表情はいやらしくて、それだけでゾクゾクとした快感を呼ぶ。  堪らず自身の太ももをこすり合わせて、自分の熱を刺激してしまった。けれどすぐに足のあいだに身体を割り込まれる。 「宏武、いやらしくて可愛い」 「あっ……んっ」  舌で唇を湿らせたリュウは、刺激を待ち望む中心を大きなその手できつく握った。さらにはそれを、乱暴なくらい激しく扱く。  思わず声を漏らせば、それを煽るように手の動きも荒々しくなっていく。  スラックスと、下着の下に押し込められている熱が、ぐずぐずとそれを汚しながら高まっていくのがわかる。 「リュウっ、んっ、や、もうイク、イクから」  高まった熱はすぐに上り詰める。身体をくねらせて逃げを打つけれど、彼の手は止まるどころかさらに強くなった。  過ぎるほどの快感に、切羽詰まった声が口先から何度も漏れて、そのたびリュウは目を細め、恍惚とした笑みを浮かべる。  ゾクゾクとした快感が背中を走り抜ければ、昂ぶった熱が弾けてぐっしょりと下着を濡らしていく。  まさかそのまま、吐き出すことになるとは思わなかった。  文句を言いたいのに、上がった息では言葉も出なくて、彼を睨みつけるしかできない。しかしそんな視線など気にもしていないのか、リュウは嬉しそうに笑いながら、口先に口づけてくる。 「……気持ち悪い」 「うん」  生ぬるく濡れた下着が、肌にまとわりついて落ち着かない。じっと目の前の瞳を見つめれば、彼はいそいそとスラックスに手をかけてくる。  腰を浮かせて脱がせやすいようにしてやると、一気に下着と一緒に引き下ろされた。

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