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 食材をチェックし、ハヤシライスにしようと鍋に火をかけたところでスマホが鳴った。反射的にビクリと肩を震わせ、いや逸也からかもしれないと慌てて液晶を覗きこむ。  浮かび上がっていたのはあかねの名前で、日向は首をかしげながら通話ボタンをタップした。 「あ、ヒナちゃん? あたしよー、あかね」 「はい。昼間はどうもご馳走さまでした。大人数なのに俺まで入っちゃって……」 「あらやだ、いいのよぅ。あたしはヒナちゃんにご馳走したかったんだからっ。っていうか、それはさておき。イッちゃんなんだけど」 「……なにかあったんですかっ? まさか事故とかっ?」  目覚めたときの救急車のサイレンを思い出し、心臓がぎゅっと縮んだ。 「やーねぇ、違うわよ。あ、でもちょっとね、救急車の付き添いで病院に行っちゃったから」 「え?」  あかねの話をまとめると、こうだ。  逸也はずいぶん顔を見せない塚田のおばあちゃんのところへ、出来立てのおでんを持って様子を見に行ったそうだ。ところが、明かりはついているのにインターホンの返事がない。不審に思いお隣の住民から管理事務所に連絡を入れてもらい、駆けつけた職員が鍵を開けると塚田のおばあちゃんが倒れていたと。

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