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****  一方その頃の逸也は、ぶつぶつとぼやきながらトキタへ自転車を走らせていた。 「だよなー。確かに貼り紙見た記憶があるわー。あー、俺、年かなぁ。つるっと忘れてたし」  ジムに着いたら入口に貼り紙がしてあった。マシンメンテナンスのため休館するというお知らせで、そういわれてみればずいぶん前から館内でアナウンスされていたことだった。 「ま、いっか。せっかく休みだしなー。日向を誘って映画でも見に行くかなー」  店の裏手に自転車を停めて、玄関を開けるもしんと静まり返っている。てっきりいつものように調理場を磨いているのかと思ったが、考えてみればここのところの日向は少し頑張りすぎなほど働いていたから、疲れて二度寝をしているのかもしれない。 「なんとなく元気なかったしな。起こしたらかわいそうか」  足音を立てずに階段をのぼり、自分も今日はゴロゴロして過ごそうと自室へそっと足を向けた。

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