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なんとなくおかしな雰囲気を感じた。自分の部屋の扉が半分開いている。誰かがいる気配がする。
「……ぅ、ん」
圧し殺された声に逸也は眉を上げた。この声は。
「……っあ、あ、あぁ」
か細く高い声。男なら覚えのある行為。ははぁ、日向のやつ、絶賛自家発電中か。
悪いところへ居合わせてしまったと思いつつ、好奇心が前に出た。あのいつも取り澄ました顔が、どんなふうに悶えているのか。
抜き足で扉の隙間から部屋を覗いて、逸也の心臓がゴトンと揺れた。
滑らかなシルクのように白い肌が、薄く浮かぶ汗に艶かしく光っている。猫のようにしなった背中と高く突き上げられた腰。誘うように開かれた双丘の狭間で、赤く色づいた場所は淫らな花の蕾のようだ。
エロい。思わず言葉に出しそうになって逸也は口許を押さえた。
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