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出会いは少女マンガのようなものではなく1

[出会い編]拝啓 涼川 鼓は、あの氷川 遼介と付き合っている。そんな(にわか)には信じ難い噂が流れたのはつい先日のことだ。 鼓はいい意味でも悪い意味でも注目の的だ。 1年生のときの新入生代表挨拶。鼓は「権力如きで成り上がった先輩方より好成績を残そうと思います」と史上最悪の挨拶をした。 この夢ノ内高校は、政治家の子供はもちろんのこと社長の息子、御曹司など......とにかく有名な金持ち高校なのだ。2年生に上がれないほど成績が悪かろうと、金やコネを使えばなんとでもなる、そんな学校。 もちろんそのスピーチにとやかく言う輩が出てくる。だが鼓は口達者で、来る者来る者全てを跳ね除けていた。 新入生代表挨拶であれだけの暴動を起こしたにも関わらず、鼓は教師軍からかなりの人気があった。理由は鼓の容姿にある。中性的な顔立ちに、艶やかな黒髪、目は薄い青色で眼鏡をかけている。鼓はハーフなのだ。 だが本人はそれを嫌っていて、全員から嫌われていると大きな勘違いをしている。 そして好く者いればもちろん鼓を嫌う者はいる。 鼓は、庶民の出。夢ノ内は金持ち高校。通常なら入ることなど不可能だ。 ならなぜ入れたのか。夢ノ内高校は学力選抜がある。鼓はその難関問題を全て100点という異例な成績を持っているからだ。 大学教授ですら戸惑う問題の数々を難なくクリアし、無事鼓は高校に入学した。 それが、鼓が避けられる理由である。 庶民の出、というだけでも白い目で見られる訳だが、それ以上になんの権力(ちから)もないくせに、周りからすれば自分より上に立たれるのが酷く気に入らないのだ。 1年生の時分はまだマシだった嫌がらせも、2年生になれば立派ないじめへと進化していった。

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