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出会いから数時間後4

「先輩はここに引っ越してきたんですか?」 ソファーに腰掛ける遼介に続き鼓も横に座る。何気無く座っているが、このふたりは今日あったばかりだし、片方はストーカーだ。 「うん...ごめんね急に。どうしてもつーくんとお話がしたくて」 「な、なら...越してこなくても」 「住んでみて分かることもあるよ」 「だから引っ越してこなくても」 「これからよろしくね、つーくん」 (話聞けよ!) むっとする鼓に知ってか知らずか遼介はにこやだ。よく頭が回る鼓ですら解決方法が見つからず俯き押し黙る。 (面倒事は避けたかったのになんでこんなことになるの。第一、みやび荘っていう快適な暮らしを自分から飛び出す理由が分からない!) 鼓が憤慨してる理由がまたずれている気がするが、まぁ、置いておく。 下を向いている鼓は、ふと、いま座っているソファーに違和感を覚えた。 (俺...ソファーなんて置いてたっけ) 鼓の部屋に、元々ソファーはない。少し前からリビングにソファーがあると嬉しいなぁ、地べたに座るとお尻痛いし、と鼓は愚痴っていた。たとえ金持ち校に入学できて家具等は自腹なのだ、とてもアルバイトをしていない鼓には買うとこなど不可能である。 そう考えると、残りはもちろん。 「先輩、ソファー買いました?」 「つーくんから先輩って呼んでもらえる日が来るなんて...感動」 ぱっと顔を上げた鼓の目に映ったものは、いまにでも昇天してしまいそうなほど安らかな顔をした遼介だった。 「せんぱーい...聞いてますか」 「...あ、つーくんなに?どうかした?」 (聞こえてないんだ...。話聞かないのはこの先輩の特徴っぽい) 「先輩このソファーの事なんですけど」 「うん、つーくんちょっと前から地べたに座るとお尻痛いって言ってたから。いきなり越してきちゃったから、それのお詫びの意味も込めてのプレゼント」 鼓はそのことをクラスメイトにも先生にも零したことはない。ということで考えられるのは。 (...盗聴器。そんなの現実にあるんだ)

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