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発言禁止令 1

鍵を閉めてもノブを回す詩帆を、遼介はそれ以上したら二度と喋れなくするぞと脅し静かにさせた。 『開けて〜、鼓くんに会いに来たんだよ〜』 鼓は眉を顰めて、 「え、怖い......急に会いに来るとか、嫌がらせのストーカーですか?」 そんなことを言った。いやいや、鼓の後に遼介(ストーカー)がいるのだが? 「つーくんつーくん、嫌がらせだけがストーカーじゃないって言ったよね?」 「だって、部屋番号知ってるし。どう考えても部屋にいたずらしに来たとしか...」 「俺も知ってたんだけど......あれ、もしかして俺ストーカーとして認知されてない?」 鼓にとって、ストーカーの定義は2種類あるようだ。嫌がらせの「ストーカー」と愛のある「すとーかー」。普通ならばどちらも嫌なものだが、そこは鼓、愛のある「すとーかー」ならいいらしい。 俺なんだと思われてんだろ...と遼介が疑心暗鬼に陥る中、鼓はふと思い出した。 「あれ、昼間見た鼻血お化けですか?」 『言い方ァ!!』 昼間、鼓たちがキスした後。 鼻血を垂らしながら詩帆が近づいたせいで、鼓は盛大にビビり「お化けー!」と言いながら遼介に引っ付いていたのだった。 「そう、変態鼻血お化け」 『鬼畜ゥ!』 「変態つけ忘れてました。変態鼻血お化けさん、なんの用ですか?」 鼓の記憶力は非常にいいようである。 『変態いらない!驚かしちゃったことは謝るけどそこまで対応酷くしなくて良くない?!』 「要件さっさと言えよ」 『話聞いてぇ?!』 コンボを決められた詩帆は扉の向こうでバタッと倒れた。 「「死んだ?」」 『死んでねぇよ!!』 なるほど、鼓と遼介はそこそこSらしい。 コンコン、と再び控えめなノックが聞こえる。 『遼介、俺だ、隆盛だ。今日だけでいいから会わせてやってくれないか?うるさいから』 「ああ...うん、まぁ」 曖昧に返事して、鼓に了承を取る。 「変態鼻血お化けと、あと俺の友達、部屋に入れていい?」 「鼻血出さないなら...どうぞ」 『...ッシャアアアアア』 響き渡る怒号。鼓は扉の前から退いて、走って洗面所に逃げ込んだ。 「...どうぞ」 「っ...可愛い」 行動可愛すぎるだろ、と遼介は部屋に置いてある無音カメラのボタンを押した。 「どうぞ?変態鼻血お化けは喋るなよ、隆盛はいいけど」 「もう変態鼻血お化けでいいよ...諦めたから」 「喋るなって言われてるだろ」 「隆盛の俺に対する扱いが酷い!」

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