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夢ノ内高校体育祭 開催 17
空気読めよ...とぶつくさ言いながらも遼介は退かない。
「空気読んだの!甘すぎて吐きそうだったから退いて欲しかったの!」
「吐くならトイレ行ってこい」
「ここで吐いてやる!」
「汚いものつーくんに見せないでくれる?嗅がせたくもないんだけど」
「うおぉおお!遼介お主ィィい!」
飛びかかろうとした詩帆を、鼓をお姫様抱っこに持ち替えヒョイと躱す。
グェッと詩帆は無様にも床に這い蹲った。
その姿もスルーして、椅子に鼓共々座った。
「さてつーくん。俺は誰に嫉妬したでしょうか?」
問いかけに一瞬なんのことだか分からず間が空くがあぁ、と思い直す。
「..........え、と?全員とか」
そんな訳ないよなと苦笑しつつ遼介を見遣る。遼介はよく出来ましたと答えた。
「本気ですか、え、本気で?全員って、この学校の人全員って意味ですか、嘘?ですか?
って思ったよねつーくん」
「一言一句間違えないことに驚きです。やっぱり先輩はエスパーなんですね」
「お褒めに頂き光栄です。でもエスパーじゃないよ。つーくんにだけだよこんなこと出来るの」
鼓の頬をスリスリと手の甲で撫でる。その手を鼓は掴んだ。
甘い雰囲気。
近くに座っていた古木はダラリと鼻血を垂れ流し、詩帆は甘さに耐えきれずゴフッと謎の音を立て倒れる。隆盛は、特に気にせず次のプログラムを確認中だ。
「その前の彼女さん達には出来なかったんですか」
「出来なかったね」
「...ふぅん」
さして興味無さそうに装いながら、掴んだ遼介の指を
思いっきり噛んだ。
「ッ!」
「...」
「つーくん、俺は食べれないよ?」
「次の競技、借り物競争ですね。頑張ってください」
ありがとう、と遼介は言い指を口から抜こうとする。抜けない。
さらに噛む力を強くすると、遼介の顔がさすがに歪み始める。
「こんな可愛くないことをする俺でも、嫉妬しますか」
ガジガジと指に噛み付く。遼介は少し目を見開いて頬を緩ませた。
「もちろん。この行動だって可愛いくらいだ。嫉妬するに決まってる、こんな可愛いつーくんを皆に見せちゃったことが悔しくて堪らない」
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