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徹底的に潰すことを決意する

side 遼介 つーくんはから涙腺が緩くなってしまったらしい。 ふとした瞬間ほろりと涙が出たり、朝起きて泣いたり、俺と話してて突然泣いたり。ありとあらゆる場面で泣いてしまう。 その都度俺は背を摩って宥める。自分でも不思議らしくって、つーくんは特に表情を変えることなく涙を拭っている。 起きた時泣いてるのは、多分魘されてるから。今まで涙が出なかった分が出てるんだと思う。 けど、他が分からない。 つーくんも不思議らしかった。 「んっ、」 「あー……おいで」 今日も、泣いてる。 生徒会室が使えなくて、仕方なくつーくんの教室で食べてる。古木君は違う人と食べていて、隆盛もそう。 詩帆は俺と一緒に食べてるけど、なんとなく思う。こいつ、友達いないのか。 教室では人目が気になるものの、泣いているつーくんを放っておくことも出来ず抱き抱えて膝にのせた。 「すみません」 小さく謝り、肩に額を押し付けてくる。 「いいよ、気にしないで。鼻かむ?ちーんする?」 「ちーんしない……子供扱い嫌です」 「でも今のつーくん可愛くて」 「可愛くない、泣いてる姿が可愛いなんて変」 「可愛いよ。ねぇ、そのまま敬語外して話してて」 「難しい……」 つーくんがスリスリと俺の首筋に寄る。可愛い。 正直、犯人には腹立たしいことこの上ない。つーくんをこんなにして、まだ犯人が捕まっていないことが苦々しく感じる。 早く捕まえてつーくんを安心させたいのに。 捕まえて、きっちり落とし前つけて貰わないと俺的には気が済まない。あの花瓶がもしつーくんに当たっていたら、怪我をしていたら。そう思うだけで………黒い感情が溢れ出そうになる。 つーくんには見せられない、俺の裏の顔。 もしつーくんが「もう許す」と言っても、俺は分かったふりをしてそれらを表の世界に出れなくしてしまう。 自己満足で結構。つーくんに気づかれなければそれでいい。 「遼介、涙止まった」 話しかけられて現実に戻ってくる。つーくんの目は少し腫れて、内心舌打ちをした。 「そうみたいだね。後で目を冷やそう、目が腫れてると可愛さが台無しだ。まぁつーくんは目が腫れてても全然愛くるしいんだけど。写真撮っていい?」 「っ……もう!」 余程恥ずかしかったのかつーくんは膝から降りてしまった。残念。 そう言えば、さっきから詩帆が「糖分120%」って呟きながら昼飯食べてるんだけど、白米ってそんなに甘かったっけ。

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