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幸せな時間は終わりを告げる 12
side鼓
「これ、指輪。検査の時に外したから……遼介はまだ付けられないんだけど、鼓くんだけでも」
「ありがとう、ございます…」
「あとアンクレットとブレスレット」
「……主従関係」
なんか古木が呟いた気がしないでもないけど、無視するしかない。
あれからスリッパを持ってきてもらって遼介の病室に行けることになった。ここにいない理由は、「氷川グループの長男だから」って言われた。
多分、凄い豪華な部屋にいるんだと思う。傍には柴先輩がいるらしい。
…手術室から離れた部屋にいるってことは、ある程度回復したって考えていいのかな。
エレベーターで最上階に登って、803号室。
8階まであるのが驚きだけど、それよりも装飾が凄い。まるでホテルみたいにレッドカーペットや花瓶やらが置いてあって、ドアも高級感溢れる“引き戸”。
……ホテルみたいだから、引き戸なのが違和感。
野沢先輩がノックをすると柴先輩が出てきた。俺の顔を見て驚いた顔をしている。
「なんで涼川君がいるんだ」
「遼介に会いたいって譲らなくて、こっちが折れたの。鼓くんって強情な所あるよね、誰に似たんだか」
お母さんみたいな事を言う。
「類は友を呼ぶじゃなくて類は恋人を呼ぶ?」
つまり俺は遼介に似てるとそう言いたいんですか、古木くん。
「……入っていい」
「ごめんなさい、ありがとうございます」
病室に入ると廊下と同じようにホテルだった。ふかふかのカーペットと、天蓋・カーテン付きベッド。1人部屋だから誰もいない。
そして、ベッドに横たわる遼介の顔に、
「……ぇ」
何故か白い布が被さってあった。
それが意味することを思い出し血の気が引いた。天地が逆転したみたいに、揺れている。
手術室から離れてたのは、もう手の施しようがないないから?
遼介……、っ
「あ、すまない。ティッシュが顔に」
「もう!脅かさないの!!鼓くん大丈夫だよ、遼介寝てるだけだから!」
「おい涼川!先輩死んでねぇから!生きてるから!戻ってこい!!」
「………………あ、そう、なんだ」
気が抜けた。
紛らわしい!!
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