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恨み辛みを……
「遼介、俺先に退院することになりました。あ、大丈夫です、ちゃんと毎日来ますから」
「……」
「ご飯作って待ってます。ブラウンシチューとキアッケレ、たくさん作りますね。食べきれないくらい」
「……」
「早く起きないと全部食べちゃいます。目の前で食べます」
「……」
「今度のデートは何処に行きますか?さすがに海外は無理ですよ。まぁ…………新婚旅行だって言うなら考えてもいいです」
「……」
「新婚旅行って、言ってて恥ずかしくなってきた……」
「……」
「指輪預かってるので、帰ったら付けてあげますね。俺はもう付けてます。結婚指輪、気に入ってるんですよ。婚約指輪はちょっと大きくて未だにびっくりしてます」
「……」
「アンクレットも付けてます。遼介に…………えっと…そくばくされたいので、さっさと退院してブレスレットつけてください」
「……」
「俺、欲しいものあるんです。遼介がクリスマスにくれたテディベア、あれに服着せてあげたくて。遼介と一緒に選びたいんです」
「……」
「性別はどっちでしょう。俺は男の子がいいなぁって思ってるんですけど。でも女の子っぽい顔してますよね、」
「……」
「…………」
「……」
「いっぱい話したいことあるんです……、ねぇ、寂しいから早く起きてよ、遼介」
「……」
「…………また、明日」
「挨拶終わった?」
「すみません待たせてしまって」
「大丈夫だ」
「それより、何話してたの?」
「……起きないことを恨み辛みと述べてきました」
「(((怖ぇ……)))」
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