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特別だったことを知らされました 1

古木はひめみや荘のため途中で別れ、詩帆、隆盛と一緒にみやび荘に帰宅した。 隆盛が鞄を持っているために、必然的に2人とも遼介の部屋に来ることになる。 「すみません柴先輩、持たせてしまって」 「いや、軽い。これくらいなら大丈夫だ」 「鼓くんは遠慮しなくていーの!ほら、隆盛って無駄にガタイいいから!」 「お前はヒョロいな、詩帆」 「うるっさい!人が気にしてること言わないでよ!筋肉つかなくて苦労してるんだから!!」 詩帆が隆盛の脇腹を殴る。……痛がったのは殴ったはずの詩帆だった。どうやら、隆盛はかなりらしい。 隆盛から衣類の入った鞄を受け取り、鼓はそれを洗面所にとりあえず置いて、詩帆と隆盛に座ってくださいと促した。 それから、戸棚から茶葉と菓子(いくつ食べるつもりだ?)を、食器棚からグラスを、とテキパキと動き回る。 「お構いなく、っていう隙すら与えてくれなかった」 「さすが、遼介の嫁だな」 (最近、柴先輩の堅物なイメージが壊れつつあるんだけど。意外とノリのいいキャラみたいなんだよね。……ってか嫁言うな) 鼓は少し顔を赤らめた。 「あの、洗濯物片付けてきても……?」 「あ、うん、お構いなく!やっと言えた!」 その言葉に固執し過ぎだろう。 洗面所で、服をネットに分けながら鼓は思う。 (遼介、ちゃんと起きるよね?) 気丈に振舞っているもののそれなりに動揺はしているのだ。 考えてしまえば悪い方向に、さらには気分も暗く悪化する一方なるので必死に紛らわそうと動き回っている訳である。 (考えても仕方ないん、だけど…) ギリと鼓は歯を強く噛み締めた。 「……考えない、考えない、考えない」 自己暗示のように呟き続ける。そこで鼓はある違和感に気づいた。 「……………………? ……………? ……………………! あ、そっか。遼介と一緒の寮になって、パンツ盗られ続けてたから洗うのに違和感あるんだった」 何の気なしに聞いていた詩帆と隆盛はお茶を吹き出したと言う。

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