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特別だったことを知らされました 2

洗濯機に全てを放り込み終えた鼓がリビングに戻って来て見たものは、ニコニコした詩帆であった。 「?」 笑う要素なんて何処にあるのだろう、と首を傾げる。 「鼓くんってさ、遼介の部屋覗いたことある?」 唐突に聞かれた質問の意図がわからず困惑するも、一応答える。 「え…っと、1度だけ。俺の写真がプリントアウトされた抱き枕見つけて目を剥きました」 「あははは!遼介らしい!引かなかったことも驚きだけどね!」 何やら上機嫌である。 そして、詩帆は直ぐに真顔になり真剣な顔をした。 「……それでね、鼓くん。俺は君に3つほど伝えたいことがあるんだ」 「?」 再び、鼓は首を傾げた。やはり意味がわからないという顔。 詩帆がいきなり立ち上がり大きな声で「そのい〜〜ち!」と叫んだ。ビクリ、鼓が肩を揺らす横で隆盛は既に耳を塞いでいた。 知っていたなら教えてくれてもいいのに、と恨めしげに睨むと隆盛は済まなさそうな顔をした。 「鼓くんは!遼介の部屋に初めて入った子です!」 「……は、はい?」 (何故いきなりそんなことを?) 「鼓くん、実はね、遼介は付き合った子を部屋に入れない主義だったんだよ」 「は、はぁ…」 「だからね、安心して。鼓くんは今まで遼介が付き合ってきた中で1番特別待遇だから!」 「……」 これは、と鼓は思う。 (これは、もしかしなくても、慰めてくれてる?) 遼介が鼓をどれだけ愛しているかを聞かせて、安心させようとしているのか。大丈夫、遼介なら鼓のためなら無理矢理にでも起きるから、と。 鼓は頬が綻ぶのを感じ、微笑んだ。 「ありがとう、ございます」 (あれ?なんか気恥しい。この部屋俺しか入ったことないの?、まって、次遼介にどんな顔をして会えばいいの?!)

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