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再開(再会)
本編に関係ありません
「つーくん」
「?」
誰かに呼ばれた気がして、ゆっくりと辺りを見渡した。けど誰もいなくて小首を傾げる。
聞いたことある声だった。懐かしくて、胸の奥がポカポカするような…暖かい声。それに、あの声を聞くと、理由は分からないけど泣きそうになった。
……何故だろう、声の人物が思い出せない。
まるで頭に霞がかかっている感じがする。
「つーくんってば」
「!」
今度はちゃんと、声のする方向を向いた。ちゃんと向いたはずなのに、そこにはやはり誰もいなくて。
誰、誰?
あと少しで思い出せそうなのに、思い出せない。それがとてもむず痒くて。
「こっちこっち」
そう言われても、その方向には誰もいないんだよ。
「ほら」
だから…
「つーくん」
「っ」
優しい声が、次は真後ろから聞こえた。
途端、身体をきつく抱き締められて思わず噎せた。
力、強すぎ、この人。
「…えっと」
「つーくん、やっと逢えたね」
耳元で話かけられて、ふ、と記憶がストンと落ちてきた。
「ぁ……………先輩?」
「ええ〜、なんでまた先輩呼びに戻ってるの?」
くすくす笑う声が耳に心地いい。それに抱きしめられるととても安心できた。
そうだ、この声は、俺の大好きな、大好きな人の声。
「遼介…?」
「はーい」
「遼介」
「なぁに」
「遼介!」
「うん…久しぶりだね、つーくん。馬鹿作者のせいで2ヶ月も会えないなんて、最悪だった」
「久しぶり、じゃないっ、俺、超寂しくてっ…」
「ごめんね、つーくん。今度は大丈夫だよ」
「う、ん…ッ」
後ろからが嫌で、真正面から遼介に抱きついた。ああ、この匂いは遼介だと確信した。
「あああ!そこ、何イチャついてるの?!」
また声が聞こえてきて周囲を伺うと、野沢先輩が俺たちを指さして目を吊り上げていた。
「よさないか、詩帆。久方ぶりの再会なんだ」
「そうだけど!目に毒!」
「俺にとっては栄養分!」
上から順に、柴先輩、野沢先輩、古木と続く。懐かしい面々に、目が潤んだ。
柴先輩は相変わらず硬そうだし、野沢先輩はいつも通り騒がs……元気だし、古木は……古木だし。
ああ、本当に久しぶりな気がして仕方がない。たった2ヶ月、離れていただけだと言うのに。
「じゃあ、始めましょうか」
「そうだね、つーくん」
「馬鹿作者〜!次はちゃんと対処しろ!」
「おい、声が大きいぞ」
「懐かしいですねこの感じ!!これからもっと腐が見れるとか最高!」
「古木は相も変わらずだね」
「それどういう意味?」
「馬鹿っぽい」
「古木くんは馬鹿作者と同類!」
「詩帆先輩、それはないですよー!」
「まぁ、兎にも角にも…行こうか」
俺は、遼介の手を握りながら強く願う。
もう二度と離れませんように、と。
再開(再会) fin
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