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メリークリスマス…? 5
12/25 3:06
目を合わせたまま、妙な沈黙が続く。全く目をそらすことなく、謎の時間が過ぎていった。
そして同時に口を開いた。
「「ごめん(なさい)」」
二人揃って目を見開き、また言葉を紡ぐ。
「「俺の方が悪いから」」
そうしてまたしても被る。
途端吹き出した。おたがい、涙が端に浮かぶほど笑い合うと、徐に布団の中で手を繋いだ。
「ごめんね、俺がちゃんと説明していればこんなことにならなかったのに」
「でも、俺も結構しつこかったと思うんで。自分のこと棚上げして、最悪でした。すみません」
「お互い様、かな?」
「そうだね」
鼓の額に、優しくキスが落とされる。甘い時間。
少し時間が空いて、遼介が実は、と口を開く。
「…あのプレゼントね、つーくんに渡すはずだった物なんだ」
え、という顔をして鼓は遼介を見る。遼介は苦笑をし手を繋いだまま体を起こした。もちろん繋いだままなので、鼓も起き上がる。
そして、昨日見た箱を床から持ち上げた。
「これ、なんだけど…中身が…」
開けると、中身は
「…」
藁人形で、
「…」
頭に釘が刺さっていた。
「…」
頭部には写真が貼り付けられており、その写真は鼓のものである。
「…えっと?」
鼓は困惑した目を、遼介と箱の間で数回往復させた。それの意味がわかったらしい、遼介は慌てて否定する。
「違うよ、俺がつーくんにこんなもの送るわけないじゃん。ここに届いた時点で誰かが勝手に受け取って、中身をすり替えたらしいんだ。受け取ったっていうか…まぁ、奪い取られていたっていうか」
「配達員さん、暴行?」
「…そうだね。いつも八九座が中身を確認して渡してくれるんだけど、その時にはもう。それで、こんなのクリスマスイブに流石に渡せ「遼介、疑ってごめんなさい」…」
遼介の言葉に被せるように鼓は抱きつき、泣きそうな声で謝罪する。
「ごめんなさい、遼介」
「……うん。でも、つーくんがヤキモチ妬いてくれたんだって思うと、ちょっと嬉しかったり」
「馬鹿」
涙を滲ませながら、コツンと頭を軽く突き合わせた。
「ごめん、ちゃんと仲直りした…っと」
「古木くんにメール?」
「うん、ちゃんと報告しとかなきゃって思って」
「そうだね、迷惑かけちゃったし、後でキスシーンでも見せに行く?」
「また鼻血出すから嫌」
「はは、そうかも」
「あ、そうだ、その配達員さん暴行した人どうしたの?」
「…つーくんは知らなくていいよ。それよりつーくん、さっきから敬語外れてるの知ってる?」
「へ?」
「そのまま俺にもっと慣れて、俺なしじゃ生きていけないようになって」
「…はい」
end
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