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第10話 

  柊が大地と共に出かけ、コニーも大学へ行って   しまうと途端、ジェイクは暇になる。   ちょっとの間はテレビやDVDを見たり、   広々テラスから外の風景を眺めたりして   時間を潰していたが、やがてそれにも飽きてきて、   テラス側から室内へ視線が行き ……   まず、手始めは、洗濯機に柊と大地の洗濯物を   放り込みスイッチオン。   次にキッチン、堪ってる食器の汚れモノを洗い。   主寝室 ~ 子供部屋 ~ ロフト と掃除機を   かけていって、LDKにとりかかっている時、   上品な和装の婦人=柊の母・史江が入って来た。 『あら、あんまりお見かけしないお顔だけど……』   しばらくジェイクの顔を見つめ考えて ――   ”あぁ!”と思いつく。 『新しいハウスキーピングの方? 今度の方は随分と  お若いのねぇ』 『あ、え、えっと、俺 ――』   と、自分の事を簡単に自己紹介しようとした   ところで、柊と大地の帰宅。 「わぁ、お祖母ちゃんだー」 「こんにちは、ちょっと近くまで来たもんだから  寄っちゃったぁ。ところで、新しい学校はどう  だった?」  「お、珍しい。覚えてたんだ」 「まぁ、失礼しちゃうわね、可愛い初孫の新たな  第一歩ですもの、ちゃーんと覚えてます」    史江は”ぽよよ~ん”とした外見の通り、   内面も”ぽよよ~ん”おっとりしていて、   天然ボケだ。   自分で買ってきたらしい生鮮食品を冷蔵庫へ   入れるためキッチンへ行った史江に続き、   さり気なく彼女に耳打ちする柊。 「あんましプレッシャーになるような事、言わないで  くれる?」 「あら、今度のもダメだったの?」 「だめって……今日は見学だけだもん、オレらみたいな  新参の父兄がホントに知りたい事まで分かりゃ  しないよ」 「で、大地はどんな感じ?」 「んー……オレが望むから行ってやろう、って感じ  かな」 「どうせあと1年で帰国するんだし、今は焦らず  自宅学習のままでも、いいのかしらねぇ」 「ちょっと待てよ、子供の情操教育に同年代の  子供達との関わり合いは絶対必要だ、って言ったのは  母さんでしょ」 「言ったわよ……言ったけど……」   1階エントランスの方のドアチャイムが鳴る。   キッチンのインターホンで柊が対応に出る。 『はい』 「お早うございます、国枝です」 『あぁ、今日は3時の約束だったね。とりあえず  上がって』   エントランスのオートロックを解除する。   すると、LDKにいたジェイクが妙に落ち着きを   失くし ―― 「あ、俺 ―― わりーけど、用事思い出したから  ちょっくら出かけてくる」 「おぉ。掃除、してくれたんだな。ありがとな」 「大したことないよ」   と、慌てたよう玄関先に向かうがドアを開いた   ところで、先ほど1階エントランスに来た来客・   国枝理玖と鉢合わせ。   こいつと会いたくなかったから、ありもしない   用事で出かけようとしたのに…… 「チッ ……(なんでこうなんだよ)」 「おや、こんな所でお目にかかるとは……」 「お目にかかりたくはなかったけどね」 「正親様も日本から帰国なさっていますので、  ちょうど良い機会です。ジェイ様も ――」 「俺は絶対帰らないぜ。あんな家に帰るくらいなら  ウリしてでも自活する」   と、国枝の脇をすり抜け、足早に出て行く。

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