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第282話 邂逅 5-2

 思い出したバスの金髪青年の特徴を話すと、渉さんはすぐに合点がいったのか、行き先を定めたようだった。 「俺も何回か見かけたことあるんだよねぇ。確か真っ黒けな印象のイケメン連れて歩いてた気がするから、その子じゃない?」 「へぇ、そうなんだ」  話から推測すると、彼らは一緒にいることが多いようだ。  もしそれが本当に僕の言う二人なのだとしたら――彼は、金髪青年と付き合っているのだろうか。いや疑問符をつけて考えるほうがおかしい。普通に考えてこの辺りでよく遊んでいると言うならば、きっとそうなのだ。大体、最初から金髪青年は会うなり彼にべったりだった。 「……だったけど」  そもそもなぜ、僕がそんなことを気にしなくてはいけないのだろうか。それにどうしてライターなんかで、こんなに一生懸命になっているんだろう。 「なんだろう」  完全にこの場所の雰囲気に飲まれている気がする。僕は一人で自問自答をしながら、思わず小さく唸ってしまった。 「……ちゃん! 佐樹ちゃん」 「え?」  いきなり耳元で聞こえた大きな声と、肩を揺さぶられる感覚に驚いて、僕は慌てて顔を上げた。 「ほんとに大丈夫? ここで待ってられる?」 「え? ここ?」  覗き込むようにして僕を見つめる渉さんに目を丸くし、僕は彼の言うここ、を見回した。  店の入り口なのだろうか。下り階段が足下にあった。下の踊り場には扉が一つ。看板が掲げられているけれど、この角度からではよく見えない。 「絶対、誰になんて声をかけられてもついて行かないでよ。俺が戻るまで絶対だからね。どうしても危ないと思ったら下に来て」 「ん、ああ。わかった」  眉間にしわを刻み込んだ渉さんの顔に戸惑いながら小さく頷くと、突然引き寄せられ抱きしめられた。

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