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第20話

* 今日の夕飯は二人で準備することになった。 と言っても、今晩のメニューは冷凍お好み焼き。ここの冷凍室には、冷凍食品がぎっしりと詰まってて、先生はバツが悪そうに苦笑いしてた。 先生に台所の説明を受けながら待つこと数分、ピーっとレンジが鳴る。 「お、鳴った」 「あっ、俺やります」 「これ割と熱いから俺がやるよ。心はそこのお皿取ってくれる?」 「は、はい」 言われた通りにお棚からお皿を取って、先生は取り出したお好み焼きを置く。こんな簡単なことなのに、一緒に何かするのはなんだか楽しい。 そんな気持ちを知ってか知らずか、先生は俺の顔を見てニコッと微笑んだ。 「初めての共同作業だな」 「へっ!?」 「ははっ。顔真っ赤」 わたわたする俺を見て楽しそうに笑う先生。 先生は思ったことを素直に口にしただけだと思うけど、俺にはそれだけでは済まなかった。 (は、初めての共同作業って……なんか、恥ずかし……) まるで結婚式みたいな物言いに、ドキドキしてしまった。そんな俺に対して、先生は特に気にした様子も見せず、お好み焼きをダイニングテーブルへと運んで行く。 「心、おいで」 先にテーブルについた先生に手招きされ、俺はたった数歩の距離にもかかわらず、恥ずかしさを紛らわすようにとてとてと小走りで駆け寄った。

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