155 / 242
第155話
「心?言葉だけでイっちゃったの?」
「ちが……」
言葉だけじゃなくて、先生の匂いで、声で、イってしまった。どっちにしろ、俺がえっちなことに変わりなくて。赤い顔を手で隠して小さく唸る。
「うぅ……せんせ……いじわる……」
八つ当たりにも似た恨み言。荒い息を繰り返す俺の頭を、先生がそっと撫でる。チュッと手の甲に唇を落とした先生が「顔見せて?」と優しい声を出した。恐る恐る手をどかすと、先生はまだ少し大人っぽい表情をしているものの、幾分かいつもの顔に戻っていた。
先生に手を引かれ、ポスっと先生の胸に収まる。
「せんせ……?」
「あと一個だけ意地悪させて」
「ふぇ……?」
「……ちょっと痛いかもしれないけど」
(痛い……?)
何をするのだろうと不思議に思っていると、先生が俺の両脇をに手を入れて、俺はベッドの上に膝立ちになった。赤く腫れた胸のすぐ横に、先生が吸い付く。
「んっ」
チクっとした痛みが伴い、しばらくして露わになったそこには、小さな赤い花が咲いていた。自分の指で、赤く鬱血したそこを撫でる。
「これって……」
「俺のものだって印」
(しる、し……)
ハッとして先生の顔を見る。
「先生……やっぱり今日のこと……」
俺の言葉に、先生はバツが悪そうな表情を浮かべた。それはしっかりと肯定を意味していて、俺はズキッと胸が痛んだ。でもそれは先生も同じ。
「心には情けないとこ見せたくなくて、気にしてないふりしたけど、やっぱ今日のこと引きずってた……。大人気なくこんなの付けて、ごめん」
(だから、いつもよりいじわるだったんだ……)
心なしシュンとしている先生。こんな状況なのに、そんな先生がなんだか可愛く思えて胸がキュンと高鳴り、俺は思わず胸元にあった頭をギュッと抱きしめた。
「心?どうした……?」
「……謝らないでください……お詫びしたいって言ったのは、俺だから。それに……嬉しいです、すごく」
「心……」
俺の胸の中で、「ありがと」と小さく呟いた先生のつむじに、唇を寄せる。サラサラの髪が唇をくすぐり、それが心地良い。
俺はまだまだ子どもだから、先生も大人気ないくらいが丁度いいの。大人な先生も、もちろんカッコいいけど、ちょっと子どもっぽい先生も、ちゃんと好き。
(どんな先生も、大好き……)
ずっと膝立ちだった俺は、先生の上に腰を下ろして、ペタと肌に触れた。細いのにしっかりとした身体。うっとりしながら擦り寄ると、下の方に違和感を感じた。
(あ……)
「……先生の……おっきくなってる……」
視線を向けると、スウェットに隠れたソコは、しっかりと主張をしていた。
「そりゃあ、あんだけ好きな子の可愛い姿見たらね」
「……っ」
顔を赤らめる俺に、先生が苦笑する。
「でも大丈夫、自分で処理するから」
「でも……」
「今日は充分色々させてもらったし、いっぱい遊んで疲れたろ?心はシャワー浴びといで。下だって気持ち悪いだろうし」
確かにさっき出しちゃったせいで、下着の中はベトベトで気持ち悪い。でもそんなのは後でも良くて、今は先生のことを考えたい。
「……やだ。俺も、先生のこと……気持ち良くしたい」
「しーん……気持ちは嬉しいけど、これ以上やったら……」
「だって、今まで先生一回も……いつも俺ばっかりで……」
だから今日は、先生にも気持ち良くなって欲しい。いつもしてもらっていることを、先生にお返ししたい。
そんな積極的なことをするのは、もちろん恥ずかしい。でも、先生だけのものだって印を付けてもらえたことが嬉しくて、頭の中のスイッチがカチッと入ってしまった。
それはもちろん例え話で、つまりは、先生が好きで仕方なくて、ちょっといつも通りじゃなくなってしまったということ。
「お願いです……先生」
俺は甘えるような瞳で先生を見つめた。
ともだちにシェアしよう!