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第199話

 「んん……ん……」  キスで舌を絡め取られ、そのままベッドに優しく押し倒される。  (今日、ついに……)  十六歳になって初めての夜。俺は先生のものになる。  お祭りの日以降、山田君と仲直りをするまで何も進めていなかった俺たちは、俺の誕生日に向けてじっくりと準備をしようと決めた。  日付けが決まっているというのは、気恥ずかしくもあったけど、心の準備ができるのはとても助かった。  「んぁ……んぅ、せん……せ」  「ん?キス、気持ち良い?」  「ん……きす、すきぃ……」  キスだけで蕩けちゃう。舌の裏は何度暴かれても、快感に慣れることはなく。それどころか、どんどん感度が高まっているようだった。  「可愛い……」  「あっ……」  キスに夢中になっている間に、いつのまにか露わになってた胸元。少しだけ濃くなった桜色が頂でぷっくりと主張していて、先生はソレをピンッと指で弾いた。  「あぅ……ん、んっ……」  「もう腫れてる……期待してたんだ?」  「やぁ……恥ずか、しい……」  とは言うものの、本当は期待してたに決まってる。期待しただけで硬くなっちゃうほど、俺の胸は厭らしく変わってしまった。それもこれも全部、先生のせい。先生が俺を優しく扱ってくれるから。  「あぁっ……あ、あんっ」  俺のより硬い指でクリクリッと刺激され、漏れる甘い声。もう片方は、舌での愛撫。先生の熱い舌で、ネットリと包み込まれる。その左右の違いに、腰が疼いて仕方ない。  「あっ……だ、めっ……こえっ」  「んー……?」  「声、でちゃうっ……んぁっ」  舌をグリグリと動かしながら上目で見つめられ、ただでさえ苦しい胸がギュンッと締め付けられる。唇の間から覗く舌が色っぽくて。自分の胸にさえも嫉妬してしまいそう。  「こえ、でちゃうからっ……ちゅー、してっ……」  「はは……ほんと、心はキスが好きだなぁ」  腰を揺らしながらおねだりする俺に、先生が色っぽく微笑む。俺のおねだりの通りに先生の顔が近づいて来て、俺はそれを迎えるように先生の首に手を回した。  (だって、落ち着くんだもん……)  胸を舐められるのもすごく気持ち良いけど、やっぱり唇に欲しい。先生にキスをされると、愛されてるって感じがしてすごく落ち着くの。幸せってこういうことを言うんだなって、幸福感に満たされる。

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