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第4話 準備しといてね♪
鳴らない電話が鳴ったのは、その日の夜十時を回ってからだった。
驚いて飛びつくみたいに液晶見て、そこに出てきた名前を見て妙に心臓ドキドキした。
シンプルな画面にでかでかと『和樹』の文字がある。
深呼吸を何回かして、俺は気合いを入れて電話に出た。
「もしもし…」
『あぁ、よかった起きてて。なかなか出ないから寝たのかと思った』
「寝てないよ」
緊張してアタフタしたなんて事は言いません。
『そっち、どう?』
「どうって?」
『寂しい?』
「!」
少し意地悪な『寂しい?』の問いかけに、俺の心臓が跳ねる。
寂しくなんて…あります。
『亮二、ごめんな』
無言になった俺の気持ちを察してくれるみたいに、和樹が申し訳なさそうにしている。
分かってるから、平気だって。去年もこの時期いなかったもん。
「部活なら、仕方ないよ。水泳部のエースだろ? そりゃ、忙しいよ」
『亮二』
「俺は大丈夫だからさ、しっかりやってこいな」
強がりだけど、本当は一緒の夏休みをどう過ごすかとか浮かれてたけど、叶わなくてふて腐れもしたけれど。でも、仕方がないのも本当。俺は和樹の応援はしても、引き留めはしたくないし。
和樹は少し寂しそうなのか、黙ってしまった。
この沈黙が耐えきれなくて、思わず何かを言おうとした時に和樹は話し始めた。
『亮二、明日の夕方からって空いてるか?』
「え? うん」
突然のお誘いに俺がびっくり。だって、合宿…。
『明日で合宿終わって、昼くらいには帰るからその後で会いたい』
会いたい。会いたい? 本当に俺に会いたい?
『嫌か?』
「嫌じゃない! 待ってる!」
俺の青春恋愛ストーリー終わってなかった!
電話の向こうで、凄く楽しそうな笑い声が聞こえる。勢い良すぎたかな。
『そんなに、俺が恋しかったの?』
「それは……」
だって、恋人一ヶ月未満だよ? 恋しくないわけないじゃん。本当ならラブラブいちゃいちゃで周囲が砂糖吐く感じだよ。
それが、部活とテスト勉強に忙殺された挙げ句、ほったらかしで合宿だもん。恋しいやらムラムラするやらで大変なんです。
『それじゃあ、俺がいない間自分でしてた?』
「え?」
固まった。何で知って……いやいや、知ってるはずないし!
「してない!」
『本当?』
くすくす笑う声が楽しそうにしている。声がなんか、甘く低くなった? 何でいきなり電話口でエロ声出してんの!
『本当は、俺をおかずに自分でしてたんじゃないの?』
低い声が耳に流れてきて、ドキドキする。息が上がりそう。なんか…凄くエロい気分になってきた。
たまらずに、Tシャツの上から自分で乳首を摘まんだ。途端、ビクンと体が跳ねた。ダメだ、凄く感じてる。
『キス、覚えてる?』
「ん……」
自分の指で唇を撫でて、舌を混ぜてみる。勿論頭の中では和樹がいて、俺にキスして舌でかき回している。
『気持ちよさそうな声が聞こえるよ。亮二、想像して欲しくなった?』
「ちが…」
『嘘つきはお仕置きするよ?』
「!」
お仕置きってなんですか! それはむしろご褒美…なんて言ったらさすがに引かれる。
『素直に言ったら、ご褒美あげるよ』
低くて色っぽい声が電話口でする。これだけで、俺の腰は重く痺れて気持ち良くなる。
『亮二』
「…しました、自分で」
ダメだ、そのご褒美欲しくてたまんない。こうなりゃお手でもおかわりでもチンチンでもしよう。
和樹が電話口で笑っている。そして、とんでもない事を言い始めた。
『どんな風にしたの?』
「それは……」
『自分で、乳首弄って?』
囁くように言われたら俺はもうそれに従う。だってもう俺の乳首尖ってる。Tシャツの上からまた摘まんで、捏ねくり回してどんどん硬く腫れていく。
「んぅ…はぁ…」
『今も自分でしてるんだろ? 摘まんで、捏ねて?』
「んぁぁ」
『気持ちいいんだね、亮二。とっても可愛いよ』
「いやぁ、和樹ぃ」
そんないい声で言わないで…俺もう馬鹿になるよ。気持ち良くて声だけでイキそうだよぉ。
『下も、濡れてるんじゃない? 脱がないと大変だよ』
半ズボンを下ろして、トランクスの中から引っ張り出した。というか、引っ張り出す前から先走りでヌチャヌチャになってた。どんだけこらえ性ないの俺。
『握っていいよ。自分で扱いて、俺に気持ちいい声聞かせて?』
なんて要求してるの!!
でも俺は素直な変態です。お許しが出たなら躊躇いません。自分で握って、前よりも熱くなっていて、ちょっと触っただけで完勃ちした。
「はぁぁ、ふっ、んぁぁ…」
『だらしない顔してるでしょ? 凄く可愛いよ』
「んあぁ! やめてぇ、そんな声で言わないでよぉ」
知らないけど、でもだらしないのは分かってるよ。蕩けきった顔してるだろうよ。
手が止まらない。俺の恥ずかしい声は全部和樹に届いている。下からはヌチャヌチャと嫌らしい粘度高めな音がしてる。腰も揺れてるし、自分でしてるのに和樹にされてるような気がしてる。
『亮二、自分で後ろの孔、弄ったりしてないよね?』
「!!」
言われて、思いだして、途端に触ってないのに奥が痺れた。ジンジンして、余計にイキそう。
『自分でしてたんだ』
「だってぇ」
『いらしいね、亮二は。自分で後ろ弄って、俺に犯されるのを想像したの?』
「んあぁ! そんな事言わないでぇ」
手、止まんない。触ってない部分まで犯されてる。俺…俺ダメだぁ!
『亮二、そろそろ限界でしょ? 俺に、とっておきのイキ声聞かせて』
囁かれて、もうそれしか考えらんない。上り詰めるみたいに許可をもらって、俺は一気にラストスパート。パンパンに腫れた強張りを必死になって扱きまくって仰け反ってハァハァ言って頭真っ白にした。
「はあぁ、イク…和樹、俺イクぅ!!」
『いいよ、聞かせて』
「和樹ぃぃ! はあぁぁぁ!」
ビクンビクンを吹き上がる。何これ凄い! 腰浮く、中も疼く、熱くて痺れて最高に気持ちいい。おかしくなりそう。いや、もうなんかぶっ飛んでる。
『大丈夫、亮二?』
「だめぇ……力入んないよぉ…」
『そんなに気持ち良かったんだ』
「気持ちいいよ…馬鹿になるよぉ…」
『テレビ電話にしとけばよかったな。亮二のイキ顔、見たかった』
「いやぁ、見られるのやらぁ…」
恥ずかしいよそれ。ってか、今の俺どんなアヘ顔決めてるわけ? 蕩け顔してるわけ? 体弛緩して言うこと聞かないし。まだ余韻に腰ヒクヒクしてるし。
『明日が楽しみだな。しっかり準備して、待っててよ。それじゃ、おやすみ』
「んっ、おやすみぃ」
そう言って、電話は切れた。時計を見たら二十分くらいしか経ってない。感覚的には三十分以上こうしてた気がするのに。
「ってか、準備って……」
準備でしょうねぇ。堂々「明日抱きます」宣言されたわけですよ。いやらしいです和樹さん、最高です。
「…準備、しよう」
ゆるゆるっと考えながら、ドロドロのTシャツやズボンや下着を見下ろして、俺はやっちまった感まるだしで溜息をついた。
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