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第14話
「にしても、痛かったなぁ。マジに殴ることないのに」
大智は頬を擦りながらベーっと舌を出すと、赤く血が滲んでいるのが見えた。
「・・・わ、悪かった・・殴って」
衝動に駆られてやってしまったが、暴力はよくなかった。ぼそっと謝れば、気にしてないと言いながら大智は体を起こした。
「それよりさっ、していい?」
「って、なんでお前はそうなんだよ。反省してないだろッ」
「反省しまくり。だから慰めてあげる」
「意味わかんねえよ」
腰を抱かれてラグマットの上に押し倒された。その勢いで軽く頭を打ったのもむかつくけど、ニヤニヤしながら股間を押し付けてる大智の神経に呆れる。
コイツはどんな時だって、平常運転なんだろう。
「いいよって言って?」
「なんなんだよっ、いつも勝手にやるくせに、って押し付けんなっ」
「南も勃ってるくせに」
既にガチガチの大智の性器が押し付けられ、布越しに擦れるもどかしい快感がじわじわと体温を上げていく。その熱は体の隅々まで回って、俺を翻弄する。
つられるようにあっという間に俺のも勃起してしまい、誤魔化しようもなくなった。
「かわいい」
「うるせっ」
堪え性のない自分の体を恨みつつ、悔し紛れに強がってみせるけど、大智には効かない。
ゆっくり近付いてくる唇を受け止めて、このまま食われるんだろうと思っていれば唇はすぐに離れ、大智に力強く抱き締められた。
「ねぇ、俺のこと好きになってくれる?」
「さあな」
「ええっ」
俺の肩口に顔を埋めていた大智が勢いよく顔を上げた。
「好きになってもらえるように努力、すれば?」
「冷たっ!ひどっ!それはなくない?」
「俺の全部を奪うんだろ?できねーの?」
「ちょっと何そのエロい顔、ずりぃ・・。まっ、自信はありますので。覚悟、しろよな」
「臨むところだ」
笑い合った俺達はどちらからでもなく自然と唇を合わせて、何度も角度を変えてお互いを貪った。
大智のように、熱くて、ねちっこくて、強引すぎるくらいの奴が俺には合ってるのかも知れない。
それと、薄々感じてはいたけど、初めて会ったときから奪われてたんじゃないかって思ってるなんて、ぜってぇ言ってやんない。
[ おわり ]
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