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キス
「右!! 反対も意識しながら攻撃をかわすッ ,身体強化は基礎中の基礎だぞ。ほら,前も気を付けろ,ちゃんと魔力を自然エネルギーから吸収しろッ魔力を切らすなッ!!」
昨夜俺は気絶するかのように眠りについた
朝は俺もウルも寝坊してしまって結局昨日の残りのスープを朝食として摂った
そして今はいつも通り修行に励んでいる
身体強化の魔法を使ってウルの攻撃を全てかわすのが今日の特訓内容だ
魔法を使い始めて間もない俺は魔力の使い方もなってない
ウルにしょっちゅう怒られてしまう…
それに元から魔力を持って生まれた人間と違って俺は自然エネルギーから魔力を吸収しながらその魔力を使わなきゃいけないから慣れるまでは左手で絵を右手で文字を書いてるような感覚で難しい
「だはぁ…」
俺は野原の上で大の字になって倒れ込む
体のあちこちが痛い,色んな意味で
「まぁ,割と様になってきたんじゃないか?」
先程まで容赦なく攻撃を打ち込んでたウルだけど,休憩に入るといつも優しくなる
それが嬉しい
「もう俺ヘトヘトです…」
ウルが俺の横に座ってきたのでその腰にまとわりつく様に抱きつく
ウルは一瞬目を見開くも俺の好きにさせてくれた
「レイラは体力が無いのが難点だな,あと魔力を無駄に消費するからその分体力が削られるだろうし…」
「疲れると吸収もままならなくなります…」
「今度教えてやろうか…魔力の消費を減らす方法と,魔力を体力に変える方法を」
「本当ですか?」
パァっと顔を明るくしてウルを見上げる
ウルは予想外だったのか俺の食いつきっぷりに若干苦笑いを浮かべつつも頭を撫でながら頷いてくれた
嬉しいな…
それからちゃっかりウルに膝枕をしてもらった
昨日の今日だからかウルは凄く優しくて俺が多少悪戯しても暖かく見守ってくれた
俺はこんな風に誰かに甘えるのが初めてだから限度とか分からないけど,嬉しくて嬉しくて仕方がなかった
ウルの胸元に抱き着いては頬擦りをしていたらウルが俺の頭に口付けをした
俺はそこでふと顔を上げた
俺が首を傾げながらウルを見つめているとウルが俺の頬を撫で始めた
「こうして誰かと密着をしていてもっと触れたい,落ち着く…なんて思ったのは生まれて初めてかもしれない。
俺が誰かをこんなに愛する日が来るとは思わなかった…」
「……俺も,誰かに愛される日が来るなんて思ってもみなかったです」
ウルは俺の言葉に一瞬眉を下げた気もしたが直ぐにいつもの表情に戻り俺を見詰めた
それからゆっくりとウルの頭が降りてきて「ぁあ…キスされるんだな…」て思って目を閉じた
期待通りウルは俺の唇を啄む様に何度も何度もキスをしてくれた
次第にそれが深いものへと変わってくる
「んぅ…ふっ」
「レイラ…」
ウルの舌が熱くて気持ちよくてクラクラしてしまう
クチュっと唾液が混ざり合う音がして耳からも感覚からも快感が伝わってくる
好き……
ウルが好き…
俺とウルは暫くの間キスをするのに夢中になっていた
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