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第47話 告白編42※
俺は欲望に負けて、そっと自分の胸へと手を滑らせた。
服の上から指で突起を撫でると、僅かではあるがそこが反応を返す。
それをしばらく繰り返し、服の上からはっきりとその存在がわかるようになると、今度は第二ボタンまでを外し、そこから手を滑り込ませて直に指先で突起を摘む。
「んぁっ」
小さく声が漏れそうになって、咄嗟に堪えた。
みんなの動きを思い出しながら刺激を与え続けると、だんだんと熱い熱が下腹へと集まってくるのを感じる。
少し躊躇いつつも堪えきれずに、恐る恐るベルトに手をかけて外し、そのまま前を寛げると中で俺自身が下着を押し上げているのが見えた。
春樹に、下着の上から散々苛められたっけ。
それを思い出した途端、そこの疼きが一際強くなった。
俺は緊張しながら下着を少しずらして自身を取り出すと、それをそっと手で包み込んだ。
「んあっ!」
ビクッと身体が跳ねたが、手はそのままそこを刺激し続けた。
「は……んっ……あ、あっ」
声もだんだんと漏れてきて、俺は空いている方の手でさっきまで弄っていた胸も一緒に自慰を始めた。
指先で突起を押し潰すと、俺自身を触っている手の滑りがよくなってくる。
「ん、ふ……あっ……いき、そ……」
もう目の前まで絶頂が近づいてきて、出る! と、思った瞬間……。
「ただいま~」
「……っ……!」
タイミング悪く、リビングの扉を開けて帰ってきたオキと目が合ってしまった。
しかも、運の悪いことにみんな一緒に帰ってきたらしく、他の三人も後ろに控えていた。
お互いに驚いて、一瞬、空間の時間が止まったように感じたが、次の瞬間の俺の動きは早かった。
人はいざという時には信じられないほどの力を発揮するものなのだろう。
俺はたった今、イきそうになっていたのが嘘かのような素早い動きで下をあげると、一目散に自分の部屋へと駆け上がり内側から鍵をかけて、布団へと潜り込んでしまった。
少し遅れてから、みんなも追いかけてきてドアノブを回すが当然開くわけがない。
「雪ちゃん?……雪ちゃん、ここ開けて」
「やだっ!」
扉の向こうでノックしながらオキが声をかけてくるが、俺は布団の中から一言答えた。
「雪ちゃん。せっかく帰ってきたんだから俺達にも顔見せて」
「絶対にやだ! 俺のことは放っておいてよ!」
今度は春樹が優しく声をかけてくるが、それも俺は即答で拒否する。
だって、あんなとこ見られて、どんな顔して会えばいいんだよ。
すると、俺を宥めるような口調で涼介と陽愛くんも話しかけてくる。
「雪乃くん、落ち着いて、ちゃんと話しよう?」
「恥ずかしがらなくていいんだからな」
自慰行為を人に見られて恥ずかしくないわけないだろ!
よりによって、それを……好きな人に見られるなんて。恥ずかし過ぎて、もう今すぐにでも消えてしまいたい。
さっきまでの甘い熱は、とっくにどこかへと消え去ってしまい、今は後悔しか残されていなかった。
せっかく好きだという気持ちを自覚できたというのに、いきなりの醜態に俺は悔しくて軽くパニック状態になっていた。
自分のせいだってわかっているのに、みんなは全然悪くないって思っているのに、俺はついついみんなに八つ当たりをしてしまう。
「みんな大っ嫌い! もう、あっち行ってよ!」
本当は大好きなのに、全く正反対のことを自棄になって叫ぶと、ドアをノックする音がさっきよりも強くなる。
「ちょっと雪くん! ちゃんと説明しろよ」
そんな陽愛くんの怒鳴り声とともにドアノブが乱暴にガチャガチャと回されて、俺は少しだけ我に返った。
あの陽愛くんが、ここまで怒鳴るなんて……俺、いくらなんでも、みんなにひどいこと言ったかも……。
そう反省したが、みんなが本気で怒っていたらと考えると、今度は恐くて鍵を開けることが出来なかった。
どうしていいかわからずに布団の中でじっとしていると、急にドアを叩く音が止んで静かになり、少し経つとみんなの慌てたような声が廊下から聞こえた。
「ちょっと、山ちゃん! 何持ってきてんの」
「いくらなんでも……」
「それはマナー違反ですよ!」
何事だろうと少し外の様子が気になりかけた瞬間、ガチャっという鍵の開く音が部屋へと響いた。
え……?
その予想外の音に俺が驚いていると、部屋のドアが開いて中へと人が入ってきた気配がした。
そして、いきなり布団を剥ぎ取られると乱暴に腕を掴まれ身体を引き起こされる。
咄嗟にその腕を振り払い顔をあげると、そこには今まで見たことがないくらい恐い表情の陽愛くんが、ベッドの上の俺を見下ろしていた。
やっぱり……陽愛くん、本気で怒ってる。どうしよう、俺……陽愛くんに、嫌われた。
何か言い訳をしたいのに、舌が張りついたかのように動かせず声が出てこない。
すると、陽愛くんが俺のベッドへと近づき、その右手が動くのが微かに視界に入ってきた。
殴られる……!
俺はみっともないくらいにビクッと身体を震わせて、強く目を瞑ると衝撃に耐えようとした。
だけど、いくら待っても予想した痛みはやってこない。
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