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第3話

動かない身体にむち打ってなんとかそちらを振り向けば、派手に装飾されたバイクの集団が瞬く間にこちらへ近づいてくる。 それに恐怖を覚えたボクは完全に怯え、逃げる事もできずその場へ蹲ってしまった。そんなボクをよそに物凄い騒音と共に派手なバイクの集団は、数メートル先で二手に別れて悠然と横を通り過ぎていく。 けれど何台目かのバイクの後部に乗っていた1人が、走行中にも関わらずヒョイと目の前で華麗に飛び降りた。 「――――…ッ!?」 びっくりしてボクは目を大きく見開く。 難なく地面に着地したその人は、顔を上げるとこちらに向かってニッコリと微笑んだ。 身長は170cmくらいで中性的な印象を受けちょっと小柄、髪は眩しいくらいの金髪。そして恐らくは自分とそう歳が変わらなそうなその人は、よく見ると喉仏があることから男の子だと分かった。 なのに顔はまるで少女のようにキレイで、少し幼い顔立ちをしている。こんな場所で出会っていなければお友だちになりたいと思えるほど、彼の笑顔は素敵に見えた。 愛想笑いも返せず呆然とするボクに、金髪の男の子はまたニカッと笑うと今度は声をかけてくる。 「どした坊主? こんなトコ蹲ってると危ねぇぞ?」 彼は明るくそう言うと、助け起こそうと優しく手を差し伸べてくれた。だけどボクは警戒して首を横に振る。 それを見た金髪の男の子は少し困ったように笑って頭を掻いた。 「ん~、俺らが怖いのは分かるけどさ、マジでここ危ないよ?」 “だからさ”と気さくに金髪の男の子はボクの腕を掴もうとする。けれどもほんの一瞬、その彼の指先が肌に触れた。――ただそれだけなのに耐えきれないほどの恐怖が襲う。 「いやあああぁっ! だっ、誰…かぁ……誰か…助けてええぇッ!!」 「―――えっ、ちょっ!?」 気がつけばボクは全身をブルブルと震わせ、声の限りに叫んでいた。その異様なまでの拒絶の仕方に、金髪の男の子の伸ばし掛けた手が宙で止まる。 周りを走行していたバイクに乗った人たちもその異変に気づき、スピードを緩めながらこちらの様子を見ていく。 けど今のボクにはそんなの視界にも入らなかった。怖くて怖くてただ泣き叫ぶばかり。 もう自分には助けてくれる人などこの世の何処にも存在しないって、とうの昔に知っていたハズなのに……。 恐怖のあまり身を隠すようにして縮こまり、ワケもなく“ごめんなさい”という言葉を繰り返す。

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