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キミが遺したコイを知る。

親友が死んだ。 仕事終わりに子供を迎えに行こうとしていた所に車が突っ込んできたらしい。 死体は見ていない。 見るも無残な姿になっていると聞いたから。 葬式中も何を考えればいいのかわからず、ずっとアイツとの思い出だけを辿っていた。 初めて出会ったのはまだ6歳の頃だった。 小学校は離れていたが、中高大と一緒に過ごしてきた。 無愛想な俺と比べアイツは愛想が良くて誰にでも好かれるような奴だった。 俺は、いつしかそんなアイツに恋をしていた。 もちろん アイツに伝えたりはしなかったが。 『俺、結婚するんだ。』 そう言って笑うアイツに俺は何の未練もなく 『よかったな。いい家庭を作れよ。』 と笑って肩を叩いてやった。 アイツが幸せになる事だけをずっと祈っていたからだ。 結婚して、子供が出来た。 幸せそうな姿を覚えている。 しかし、奥さんは元々体の弱い人だったらしく子供が生まれてまもなく病気で他界してしまった。 『俺が子供を守る。俺がしっかりしないとな。』 そう言っていた矢先だった。 両親を失って子供はどうするんだろうか。 ふと、目を向けると最前列に足をバタバタとしながら鼻歌を歌う子供がいるのを見つける。 あれがアイツの子供だろうか。 「ねぇ、パパも遊びに行っちゃったのずるいよね。」 そう隣の大人に話しかけていた。 大人は何も言わず頷くと、子供はニッコリと笑って 「早く帰ってこないかなぁ。」 とだけ言った。

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