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葬式が終わり、親族へ挨拶を終え外へ出る。 空は嫌なくらいに青く雲も見えない。 ああアイツが好きだった空だなと思うと急に目の奥が熱くなってくる。 「…早過ぎる、だろ。」 まだ三十にもならないうちに死ぬなんて。 アイツだけは生きてなきゃいけなかった。 …なんで、アイツが死なないといけないんだ。 胸が苦しくて強く服を握りしめる。 きっと家に帰ればまた思い出して泣いてしまうだろう。 アイツが好きだったんだ。 「ね。」 ぐい、と服の裾を引かれ我に返る。 慌てて振り向くとさっきの子供が首をかしげて立っていた。 「(レン)です。貴方が勇気さんですか?」 その言葉に唖然とした。 少年は真ん丸な目で俺を見上げる。 悲しみなんてどこにもないような目で。 「そう…だけど。」 「僕、パパの子供!探してたんだ。」 「…紀実(キミ)の?」 「うん!」 恋は俺の手を握ると引っ張りながら歩き出した。 その姿は紀実を写したようで、どう見てもアイツを重ねてしまう。 恋へ手を引かれながら大通りまで連れてこられると、大きく手を挙げた。 「おい、何して…」 「タクシー!お家帰ろ?」 「お家って…お前は帰る家がほかにあるだろ。」 「ううん。パパとママは遊びに行っちゃったし、おばーちゃんもおじーちゃんも嫌っていうの。」 「…それで何で俺なんだよ。」 「パパが困った時は、勇気さんに言うんだよって言ってたから。」 そう言ってニッコリと笑った。 紀実が俺を…? どういう経緯なのかは全くわからないがどうやら生前そう言っていたらしい。 ポカンとしていると目の前に1台のタクシーが止まり、扉が開いた。 「どうぞ。」 「あ、……お前本当にウチに来るのか?」 「パパとママが帰ってくるまで。」 「……わかった。とりあえず来い。」 パパとママが帰ってくるまでが永遠を指すことをまだこの小さな子供は理解していないんだろう。 タクシーに乗り込み上機嫌で窓の外を見る恋の頭を少し撫でてやる。 恋は撫でられてただ嬉しそうに笑った。

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