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Ⅰ そこは笑うトコロ③
「なんで、お前がーッ!」
声を荒げた俺は悪くない。
食堂に入ってきた顔に絶句する。
「我が呼んだ。優秀なパートナーだ。仲良くしろよ」
できる訳ない!
だって、こいつはッ
学園生活に立ちはだかる至上最悪のライバル
俺はこいつに何度煮え湯を飲まされた事か!
こいつのせいで俺は、常にNo.2
中間考査の成績は、奴が1位、俺が2位
100m走も、奴が1位、俺が2位
まさに文武両道を絵に描いたような奴。先生方の覚えもめでたい。
(それだけならいいよ!)
俺が許せないのは……
「おはよう、大和君」
にこり
爽やかに微笑む彼は天使だ。
「この前はありがとう。お蔭で体育祭も盛況の内に無事成功だ」
天使の微笑みの裏で、俺を体育祭実行委員に仕立てあげた実行犯!
俺が許せないのは、
(こいつに本音がない事)
笑顔の仮面を被った顔で、巧みに人を利用する。
表面 は学園人気投票No.1の理想の生徒会長
しかし裏の顔は決して見せない。
見せないから皆、騙されてるんだ。
胡散臭い微笑みの仮面に
天使の微笑みは計算だ。
彼は爽やかな容姿と、柔らかな物腰、そして天使の微笑みを巧みに使って、生徒会長に就任。
瞬く間に生徒会を占拠すると、専制君主制を敷き『鋼鉄生徒会』と呼ばれる聖ミカエル学園絶対王政を組織したのだ。
……そして、俺は誰も成り手のなかった体育祭実行委員に~。
(普通にさ、なる奴いねーからやってくれ……って頼まれてたら、こんなに怒ったりしない)
天使の微笑みで俺に近づき、鋼鉄生徒会の権限で嫌と言えない状況を作った暴君 飛鳥 孝允
(相性最悪~♠)
こんな奴と組めっての?
組みたくない。
でも組まないと……
「契約違反で、即死亡だ」
ニヤリ
チビッ子が口の端、笑んだ。
「ベル様、食後のおやつです」
「おぉう!すまんな」
「ベル様の大好物サバランです」
おい!
学園の王 も権力にはすり寄るのか?……って、王権神授説だもんな。
悪魔に跪くのも道理か。
……って、チビッ子だぞ。
ラム酒のきいたサバランなんて食べさせるなよ。
「ラム酒風味だよ。アルコールは飛んでいる」
あっそ。
ご丁寧な権力へのお気遣い、痛み入ります。
「……って、お前。サバランが好きなの?」
「そうだ!世界一美味いケーキだからな♪」
やっぱり~♪
「俺もそう思う」
………って★
「まさか俺の前に現れたのは」
「お前がサバランを食していたからだ」
世界一美味しいサバランがまさかっ。
世界一不幸に俺を突き落とすなんて~。
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