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Ⅱ 見せしめなら俺がなってやろう⑧
許せない。
飛鳥の想いを馬鹿にして、踏みにじって。
俺はモドキを許せない。
「……許せねェ」
飛鳥の黒眼がモドキを見据えた。
「大和を傷つけて、どこまで怒らせば気が済む」
お前の怒りは、そっち?
それって俺への優しさ……だよね。
飛鳥の足が振り上がる。
蹴り飛ばそうとした刹那
「ダメだッ」
止めていた。
許せないのは俺も同じ……だけど
「自己防衛じゃない暴力はダメだ」
これ以上は飛鳥が傷つく。
俺、お前を傷つけたくないよ。
俺のために。
「チビッ子も見てるから……な」
子供の前で暴力はダメ
フッ、と。
小さくはにかんで笑む飛鳥がいた。
柔らかい微笑みは本物だ。
天使を真似た笑みじゃなくって。
「おまえのそーゆートコ、俺じゃあ真似できねェ。俺が笑っても、お前笑ってくれないし。
でも、どうして今は笑ってくれるんだ?」
……俺、笑ってる?
あぁ、そうか。
答えは単純だ。数学の公式なんかなくたって、簡単に求められる解だ。
「お前が天使じゃないって分かったから」
俺の願いはとっくに叶っていた。
天使の微笑みの仮面、引っ剥がして本音で付き合う……って願いはもう叶ってる。
「鋼鉄生徒会、集合!」
飛鳥の一声で扉が開き、資料室に鋼鉄生徒会メンバーが雪崩れ込む。
床でのびてるモドキの両脇を掴むと、どこかへ運んで行っていってしまった。
この後、モドキがどうなったのか?
何も聞くまい……
「下僕共よ、よくやった。褒めてやろう」
割れた窓の向こう、青い波間にキラキラと陽光の宝石が照り輝いた。
風に黒髪がなびく。
窓辺に腰掛ける青年は………
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