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第一夜
「やだ……もうやめてっ…。赦して…、僕はこんなことしたくない…こんなのは…もう、いやだ…」
「ヴォルフ、いい加減泣き止め。本当はお前もこれが大好きだろう?」
「好きなわけないよ。僕は父さん達の息子だけど、母さんの身代わりにはなれない…っ」
「身代わりになんてしていないだろう。私はお前を息子として愛している。なんと言っても私はお前の父親だからな。当然だ。だからお前も遠慮なく、父である私に甘えなさい」
「あ、あぁ……ひぃいい?!いやだ、やだあぁああーーーっ!!」
口先だけの抵抗など意味はない。暴れたところで自分では成熟した大人であるこの人の腕力には敵わない。兎が狼に敵わないのと同じで、狙われたらどうやったって逃げられない。
身も心も父であるフレルド・ポートマンの支配からは逃れられない。
これは母を失った父に自分が唯一できる施しであり、自分に課せられた運命であり義務なんだと心の中で自分自身に言い聞かせる。
何度も何度も何度も何度も。
己を納得させるべく、犯されることの意義を見出すべく、この行為が決して禁じられた汚らわしい行為ではないのだと己自身を偽りたくて、何度だって胸の中でつぶやく。
それでもやはり納得できることはなく、ベッドに組み敷かれて正面から覆いかぶさってくる父の屹立が秘部に押し当てられた瞬間は、どうしたって絶望を感じる。
「あぁあ、今日は…入れないで…ぁあ、だめっ、いやだ…っ、あ、ぃぁあ、うぅう…」
胸を焼くのは閉ざされた秘部を熱した杭で穿たれているような壮絶な痛みと、羞恥と屈辱。
そして次から次へと沸き起こるのは人の道を大きく踏み外しているということに対する罪悪感だ。
この行為に負の感情だけ抱けていれば、自分は被害者であり、悪いのは父だけだと神に訴え、フレルドを罵る権利を得ることができるのかも知れない。
だが、それはどうやっても無理だ。
父の屹立が媚肉をかき分けて奥へ進んでくるたびに、シーツに押し付けられた剥き出しの背筋が甘く痺れる。
大きく足を開かされて身体を二つ折りにされて息苦しいのに、秘孔を父のもので塞がれると心地よさを感じてしまうのだ。
母が他界してから父と繰り返してきた禁忌の行為に体はすっかりなれてしまっている。
十代の身体は物覚えがよく、悔しさに唇をかみしめてシーツを握りしめている間にも、秘部は屹立をゆっくりと飲み込んでいく。
ねっとりと父の欲望に媚肉を絡みつかせて。ぐぐっ…ぐぐっと、体重をかけられて押し込まれて仕舞えば、ヴォルフラムに拒む力などない。父からもたらされる情念と執着心に、ヴォルフラムの抵抗が剥ぎ取られていく。
「あぁ、…あ、奥に…父さんのが……っ」
届くーーーと、ヴォルフラムが戸惑いの声を上げる前に父のそれは最奥の肉壁へと到達してしまう。
ヴォルフラムが琥珀色の瞳を驚きに見開いた視線の先で、ポートマン家の遺伝子がもたらす見事な金髪を汗で額に張り付かせた父は、アイスグレーの双眸を笑ませてその口元に笑みを浮かべた。
ぺろりと、見せつけるように唇を舐めて見せたのは、ここまでくればもはや拒むことはできないと宣告するためだろう。
「わかるだろう、ヴォルフ。私の屹立がお前のココにぴったりとハマったのが。まるで誂えたかのようだ。やはり親子だな。こんなところまで母 に似ている」
「ち、がう…ぁあ、そんなことない…っ。僕は違うっ」
「違わないさ。お前がいくら否定しようが、現実は変えられない」
隙間なく繋がり、父の下生えが結合部に擦れる。奥の奥、自分の体なのに絶対に自分では届きようがない場所まで父に暴かれて、涙が溢れでる。
悲しくて、悔しくて出た涙なのか、それとも喜びで溢れた涙なのかはヴォルフラムにもわからない。咥え込んだ屹立をヴォルフラムの体になじませるようにゆっくりと揺すられると、条件反射で屹立から先走りが溢れてくる。
とろり、とろりと…竿を濡らすことをやめられない哀れな姿を一瞥し、父の機嫌はますます良くなる。
祖父である前当主が退き、父の私室となった部屋には淫靡な香りが漂い始めている。
「お前は本当に可愛いな」
愛しているよーーーと言いながら、ヴォルフラムの胸に顔を伏せた父が恭しく口づけを落とす。
「もう少し馴染むまで待ってやるから、一度先に出してしまえ。そうすればより深く快感を味わえるだろう」
「ん、ひっぁあ、あ、触らな、ーーーッあぁーーっ!!!」
ピンっと勃ち上がっていた屹立の先端の小さなくぼみに爪を深々と立てられては成す術などない。先走りをこぼしていたヴォルフラムの性器はあっという間に上り詰め、父の指に砲身を握り締められたまま白濁を吹き上げていく。
「ヴォルフーーー私と彼女 の愛の結晶……」
「や、ぁあっ、いやらぁあっ!!さ、触らない、で…いまは…だ…めーーーーっぁあ、あぅうっ」
一滴も残してなるものかという執念を感じる手つきで、根元から先端へ屹立を容赦なく扱かれ、ヴォルフラムは絶頂の余韻に浸ることさえ許されないまま苦痛に喘いだ。
「ぁあ゛…ん、ぁあ、…ん゛、やぁあああ…」
浜辺に打ち上げられた魚よりもなお激しく、背をそらしてビクンビクンッと腰を跳ね上げさせているヴォルフラムに視線を注ぐ父の目は恍惚と輝いている。
髪をパサパサと揺らし、胸を大きく上下させて喘いでいるヴォルフラムの姿は幼いのに、10代前半という年齢には不相応なほど妖艶だった。
ぐっぷりと嵌め込まれた屹立を揺さぶられ、ヴォルフラムは生じた痛みに呻く。
「ぁあ、お願いだから…父さん、い、痛くしないで……」
「もちろんだ、ヴォルフラム。お前は何も心配せず、私にすべて任せておけ。私が母 の分もお前に愛を注いでやる。お前の中に溢れるほどにーーー」
こんな歪んだ愛などいらない、とは言えなかった。体が心を裏切り、徐々に激しくなる律動に思考が焼き切れていく。
自分にとって父は絶対だ。
何があっても逆らうことは許されない。
だったら父の言うように愉しんだらいいんだとヴォルフラムが疲れ果て、すっかり諦念して父の言葉に何一つ逆らわなくなってから数年経ったある日、父は息子を残して病であっけなくこの世を去ったーーー。
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