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「今の…?」
「ん?これか?」
ふわ。
優しく触れたのは睫毛。
「バタフライキスってやつ」
「…バタ…?」
「睫毛で触れるキス。
本当に触れたら、堪えきれなくなるから」
「……?」
「まさか、昨日の事を夢だと思ったりしてないよな」
「………!?」
夢ではない?
嘘でも…?
「夢じゃないぞ、アルフリート」
「え、あ、あ…っ」
恥ずかしくて、顔が熱い。
そんなアルフリートに、リカルドは微笑む。
「いっぱい話そう、アル。
お互いの気持ちも、これからの事も」
「……いいの?本当に僕で…本当に?」
「アルフリートじゃなきゃ意味がない」
「う、……」
零れる涙を、リカルドはそうっと吸い取ってくれる。
ひと粒、ひと粒、優しく。
「いっぱい話そう。
アレクの事も、気になってるアンブローシャの事も」
「……っ」
「アンブローシャの居場所を奪いたくなくて、ずうっと遠慮してたのも分かってた。
医務官になれなかった事を心苦しく思ってたのも。
だけど、それを言ったら…アルが困ると思って言えなかったんだ。ごめんな」
「う、ううん。
リカルドは悪くないんだよ。
僕が言えないままだったから、だから…」
「謝るのは、もう無しにしよう。
これからは、アルがアレクを沢山甘やかせるようにしたい」
「ん…」
額に一つ、口づけが落ちる。
漸く二人の想いが通いあったのだった。
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